社会・その他

化学の力でマットレス、ひと味違う避難ボックス…防災を最新グッズから探る (1/3ページ)

 夏は災害が多発する季節だ。毎年のように豪雨がまちをのみ込み、近年では猛暑も災害と数えられるようになった。いつ、どこで起きるかわからない中で、いかに備えるのか。インテックス大阪(大阪市住之江区)で6月6~7日に開かれた「防犯防災総合展2019」を取材し、最先端の防災グッズからヒントを探った。(鈴木俊輔)

 「非常用のマットレスを作ってみませんか?」。精密機器メーカーのコニシセイコー(京都市右京区)のブースで、2種類の液体が入ったビニールの筒を渡された。

 言われるがままに、液体部分を押し出すように力を込めると、中の袋が破れて液体が混ざり始めた。中身を往復させるように混ぜていくと、熱を帯びながら次第に白っぽくなり、膨らんでいく。数分で弾力のある柔らかい棒(長さ68センチ)ができた。

 棒の正体は発泡ウレタン。長期間使っても質感が変化しにくく、断熱効果もある。これを17本作り、専用のシーツに差し込めば、長さ190センチ、幅68センチ、厚さ6.3センチのマットレスが完成する。所要時間は30分ほどだ。

 避難所用の寝具は、体への負担が少なく、より少ないスペースで保管できるものが理想だ。布団や市販のマットレスは広い保管場所が必要。一方で空気を入れるだけのエアマットは、小さく収納できる半面、寝心地が良いとはいえず、長期間の使用には適さない。

 コニシセイコーは、できあがった製品ではなくその場で作るという逆転の発想で、保管スペースの問題をクリア。化学反応を起こす前は、牛乳パック10本分ほどの段ボールに収まる。

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