近ごろ都に流行るもの

肩書なくし業績アップ、トップダウンはもう古い (3/3ページ)

 信州大時代にサッカーで国体に出場し、信州大大学院で教育学修士を取得。Jリーグ横浜F・マリノスコーチを経て、平成23年から東京電機大の専任講師とサッカー部監督を兼務するかたわら、スポーツ関係者や経営者に向けたチームビルディングの指導・研修で各地を飛び回っている。

 同書では、幅広い人脈と知見をもとに、スポーツにおける成功と不祥事の舞台裏に迫り、その要因を分析。ビジネスとも結びつけて分かりやすく解説している。

 「人心掌握の基本は誠実さ。監督は、自分が勝ちたいがための駒に選手を使ってはいけない。それは社長と社員の関係も同じ。組織づくりに重要なのは個々が尊重されること。『俺たちのプロジェクト』として責任感も一体感も高まります」

 脱トップダウンの好例として、昨年夏の全国高校野球選手権大会で準優勝した金足農(秋田)の戦いにもページを割いている。早くも“伝説”化している準々決勝対近江(滋賀)戦の「逆転サヨナラツーランスクイズ」のシーンだ。

 1対2の劣勢。9回裏無死満塁の場面でバントした際、2塁走者までが自らの判断で本塁に突入した。「セオリーにない展開。仮に監督の指示であれば、走者は不安の中で走ることになり結果は違っていたかもしれない。自分の判断だからこそ迷いなく力を発揮できた。チャレンジを歓迎するチームづくりをされていたんでしょうね」と推察した。

 折しもフランスではサッカー女子ワールドカップ大会も開かれた。前々回に初優勝の偉業を成し遂げた「なでしこJAPAN」の選手たちから「ノリさん」と呼ばれていた監督のすごさも、改めて思い出す。

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