東京商工リサーチ特別レポート

業者倒産で工事が中断した「有明テニスの森」の今 五輪に間に合うのか (2/3ページ)

 決算内容は、対外的に公表してきた決算書は少なくとも2009年7月期以降は最終黒字、かつ資産超過となっているが、これは不適切な会計処理の結果だ。実際には2018年7月期のかなり前から債務超過の状態が続いていたとみられる。

 エム・テックは、2013年7月期から工事収益の計上を進行基準に移行したが、その後も貸借対照表に未成工事支出金や完成工事未収入金を過大計上していた。

 エム・テックは売上至上主義による管理体制の不備や身の丈を超えた重機などへの投資から、資金繰りが悪化。これを取り繕うために、下請けなど協力業者への支払いを意図的に遅らせていた。難癖をつけて不当に工事代金の減額を要求することも少なくなかった。

 また、公共工事の前払い制度(請負額の4~5割)を利用し、前払金を日常の運転資金に流用していた。前払金を受け取った後、関係会社に工事を発注した外形を整えて支払い、それをエム・テックに還流させていた。

 エム・テックは、港湾工事の延長許可申請漏れや許可条件違反の工事実施などで、港則法違反で起訴され、2018年5~9月まで地方自治体等からの入札資格が停止された。これにより、資金繰りの拠り所としていた工事前払金を受けられなくなり、資金繰りが急速に悪化した。

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