社長を目指す方程式

逆説的に部下をやる気にさせてしまう“ヤバい”行動経済学 (3/4ページ)

井上和幸
井上和幸

 心理学者ツァイガルニクの行った実験によれば、作業タスクを途中で中断させることで、作業を継続したチームに比べて中断させられたチームは2倍、その作業について後々鮮明に記憶していたそうです。更にこれを発展させたいくつかの実験では、同様の作業中断で、興味関心が高まることが分かったと。

 私たちは日常、このツァイガルニク効果に“ヤラれて”います。それは、「続きはCMのあとで」「詳しくはWEBで」。「おいおい、続き見せてくれよ!」、と時にムッとしながらも、続きが気になってCM明けまでテレビに釘付けにされたり、スマホでサイト検索に行ったりしてしまいますよね。

 ノッている仕事を強制終了させられたことで、部下はその仕事への注視度合いとコミットメントを高めます。帰宅後、翌日朝まで「続きはこうやってやろう」「関係する情報、ネットや本で調べておこう」という思考・行動が発生し、翌日出社後、猛然と昨日の続きに取りかかってくれることでしょう。

 「サンクコスト効果」「保有効果」で惰性や慣れに刺激

 人は、ある程度まで進めたことを途中で捨てることに心理的な抵抗を持ちます。私は漫画も良く読むのですが(現在、30タイトルほど単行本で追っています)、その中の何タイトルかは途中で話がつまらなくなってしまっているにも関わらず、「でも25巻まで読んでるしなぁ」とそのままその後の続刊を発売されては買い続け、義務のように読んでいるものがあります…。

 プロジェクトワークなどが長期化してくると、悪意なくだれてきたり飽きてきたりするものです。そんな折に、上司の隠し玉として使える心理テクニックをご紹介します。

今回の社長を目指す法則・方程式:

「イケア効果」「ツァイガルニク効果」「サンクコスト効果」「現状維持バイアス」「保有効果」

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