高論卓説

離職に至る「苦情クレーム対応」 不満につながる本音を理解しよう (1/2ページ)

 医療の結果が悪いとき、医療者と患者・家族の間で「コンフリクト」を生じることがある。「コンフリクト」とは「相対する意見ないし要求などが対立し緊張状態を生じること」。怒りが表出され、苦情、クレーム、紛争、対立に至った状態はもちろんだが、一方が不安、不満を感じながらも胸のうちに秘めて表出できない状態も含める。特に医療においては、患者が医療者に対して、「言えない」といったことが生じ得る。対話により気持ちを表出させ、医療者は思いに早く対応する必要があり、「医療コンフリクトマネジメント」が求められる。

 コンフリクトは一つの出来事を異なる立場、日常、経験を有する両者が異なった解釈をするために生じる「認知のずれ」が原因となる。さらに、感情に対する対応が適切でないと対立が深まりかねない。医療者としてはリスクや悪い結果も説明した、精いっぱいやった結果の不測の事態と考えて理解を得ようとする説明が、一度不満を持った相手に対して言い訳にしか聞こえない、納得できないということが起こり得るのである。また、医療者が伝えようとしたことが、対話によって伝わらないとしたら残念であり、患者家族にとっても、さまざまな感情に対して共感を得られないことは有益ではないのである。

 傾聴・共感が大事といわれるゆえんは、人は自分を承認してくれる人しか信頼しないからだ。怒りを表出させている人でも同様である。怒りというのは2次的な感情であり、その奥には実は別の感情がある。医療の結果に対する強い怒りの奥底には、もっとこんなことができたのではという自身の後悔、期待を裏切られた思いなどがある。

 しかし、こういった気付きは十分に語らないと得られず、当初の怒りのみの表層のやりとりで終わってしまいかねない。

 もちろん対話だけでは不十分である。医療事故を調査するときには、生じた事実を客観的に詳細に捉える。医療の適切な水準として満たされていないのに対話で解決しようとしたらごまかしである。必要なプロセスは経てその上で信頼を得るための対話、という両者が求められるのである。

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