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「我々はビジネスが下手」 イタリア人の決まり文句の裏にある自信とは (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 イタリアのビジネスについて意見交換する機会は、言うまでもないが、もうしょっちゅうある。その際、イタリア人が持ち出すお決まりの文句がいくつかある。

 「我々はビジネスが下手だ」という。

 そりゃあ、世界に君臨する多国籍超大企業とは縁が薄い。そういう企業の現地法人はあるが、イタリア発のそのレベルはあまりない。だから、このように嘆く。

 だが、海外市場で光る存在感のある中堅どころの企業は沢山あるじゃない、とこちらが言うと、次のように答える。

 「それは、そうだ。我々はニッチな市場を狙うのは得意なのさ」

 なんだ、やっぱり自信あるじゃない。

 「うん、何かを作り出すのは得意だし、それを売るのにも積極的で、世界各国に売り歩くのを厭わないかも」

 なぜ、それでビジネスが下手だと言う?

「あるレベルまではいくのだけど、それ以上が難しい。外国の企業や投資家に買われてしまうのだ。あるいはスケールアウトに興味がもてないから、売ってしまう」

 例えば、宝飾品のブルガリなんかもそうで、2011年にフランスのLVMHに買収された。そういうことを指している。でも、その時、ブルガリは1000億円以上の年商があったじゃない。そこまでいったのはイタリアの人の力でしょう? 欲しがる企業をつくるって、すごいじゃない。

 「そう、そうなのだ。フランスには、そういう新しいものを生み出す力はなくて、我々にはある。だから、フランスとイタリアは補完的な関係にあるといえる」

 フランスの会社のマネジメント能力が高いからといって、でもそれは米国の経営とは違うよね。

 「明らかに違う。彼らは彼らなりのアプローチをとる」

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