キャリア

元LINE社長が読んだ「僕がヤバかった時の名著3冊」 半生と共に振り返る (2/2ページ)

 ベンチャーに必要な人材は、会社のステージによって異なります。最初のころは、きちんと仕事をやり切る人。軌道に乗ってきたら、専門性やマネジメントのスキルを持っている人。ただ、スキルで採用した人は、会社の成長が止まると、もっと条件のいいところに簡単に流れていきます。『ビジョナリー・カンパニー2』を読んでから採用するようになったのは、会社を愛してくれる人。社畜的な意味ではなく、会社のビジョンや価値観に心から共感してくれる人を採用することにしました。

 当時、掲げていたのは、「コミュニケーションの価値を高められる世界ナンバーワンの会社」でした。あと、企業文化として「平和なアジアをつくろう」ともよく言っていました。親会社が韓国の会社なのでスタッフにも韓国人が多かったのですが、サッカーで日韓戦があると、そのたびに会社の雰囲気が悪くなる(笑)。なので、アジアで喧嘩している場合じゃなくて、みんなでシリコンバレーを超えようぜと。そうやって苦しい時期を乗り越えていくさなかにLINEが誕生して、会社もふたたび上昇気流に乗りました。

 事業がうまくいき始めると、読書傾向も変わります。この時期はグローバル企業の経営本や、歴史や宇宙、生物論など、人間のオリジン(起源)に迫る本を中心に読んでいました。グローバル展開するにあたって、会社や人間の本質とは何かという問題意識が芽生えてきたからだと思います。

 LINEの社長を退任して、C Channelを立ち上げ

 48歳のときにLINEの社長を退任して、C Channelを立ち上げました。日本発で世界ナンバーワンのメディアをつくるためですが、最初の半年は苦労の連続でした。自分でトイレ掃除をしたり、プレスリリースを書いたり。そうした作業も苦になりませんが、設立直後の発表会で「いつでも黒字化できる」と答えてしまい、そのプレッシャーは感じていました。主な対象ユーザーである若い女性の感性がわからないことも悩みでした。

 起業した年の暮れにハウツー動画で1億再生を記録してようやく成功モデルをつかむことができましたが、そこまでくじけずに走り続けられたのは、『HARD THINGS』(ベン・ホロウィッツ)を読んでいたからかもしれません。シリコンバレーの投資家が起業家時代を振り返った本ですが、会社が訴えられたとか、資金がショートしてつぶれそうになったとか、全編、暗い話しか書いてない。これに比べれば自分の悩みはマシだなと慰められました(笑)。

 ハウツー動画でブレークした後も、ビューティ動画やママ向け動画メディア、動画オーディションアプリなど、さまざまな切り口でサービスを増やしています。もちろんその裏には途中で頓挫したり、方向転換したサービスもあります。大切なのは、やってみること。絶対に成功するサービスは誰にもわからないので、まず動き始めて、ハードシングスを乗り越えるために試行錯誤するしかないと実感しています。

森川 亮(もりかわ・あきら) C Channel 社長
 1967年、神奈川県生まれ。89年、筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。在職中に青山学院大学にてMBA取得。2000年にソニー入社。03年ハンゲーム・ジャパン(現LINE)に入社、07年社長に就任。15年よりC Channelを創業。

 (C Channel 社長 森川 亮 構成=村上 敬 撮影=大沢尚芳 写真=Getty Images)(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus