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ティファニーブルーにルイヴィトンもラブコール LVMH傘下でも輝く「色」 (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 ティファニーのあのエメラルドがかったブルーの箱を受け取ってうれしくない人は、男女ともにそうはいないに違いありません。その箱の中には必ず、上質で品が良く、かと言って大げさでどこにもしていけないような代物ではない知的な何か素晴らしいモノが入っていることを示唆しています。

 そんなティファニーにLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)から買収の打診があるとのニュースに驚いたビジネスマンは多いのではないでしょうか?ティファニーと言えばニューヨーク5番街に旗艦店を構え、ニューヨークを、いやアメリカを代表するブランドとして知られていますので、ルイヴィトンやモエヘネシーを母体とする生粋のヨーロッパ高級ブランドグループLVMH傘下に入る姿はちょっと想像できないでいます。

 1837年 ニューヨーク 創業

 あらためてティファニーの歴史を調べると、1837年ニューヨークのブロードウェイに創業しています。なんと初日の売り上げは4.98ドル。当初は文房具や装飾品を扱っており、1848年フランスの貴族から貴重な宝石を買い入れたことがきっかけで全米屈指の宝石商という地位を確立していったとのことです。

 歴史の中でもトルーマン・カポーティ原作、オードリー・ヘップバーン主演の1961年米映画「ティファニーで朝食を」はあまりにも有名です。これも映画やテレビドラマに商品や社名を表示させアピールするプロダクトプレイスメント手法の走りでもあるようですが、すでに代名詞的な定評ステータスを確立していたがゆえに有名作家が自ら引用したということだと思います。

 世界に300店舗以上が展開されており、日本人にも馴染みの深いブランドですが、近年はアジアパシフィック地域でも伸長するなど、商売に行き詰まって身売りするということではないようです。

 LVMHなどが主導し脚光を浴びる高級ブランド価値最大化スキームから見た場合、ティファニーの現経営はまだまだ保守的で伸長の余地ありということなのでしょう。

 欧州ブランドと一線を画すシンプルさ

 ティファニーの製品は、同じ高級品でも多くのヨーロッパの階級社会をバックグラウンドにするものとは違いを感じます。まずどこかシンプルで質実剛健。もちろんアメリカの富裕層が極めて裕福であることに違いはないでしょうが、ビジネスをバックグラウンドにする彼らの好みとして高額品にもどこか実用性を求めているように感じます。だからこそ、銀製の文具や装飾品など普段使いもできそうな小物類などお手頃な価格帯の商品も違和感なくラインアップされており、それが人気や認知の幅広さの背景となっています。

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