今日から使えるロジカルシンキング

あなたならどうする? 経営会議で役員から2種類の資料を受け取った (1/2ページ)

苅野進
苅野進

第15回 伝わるプレゼン〈応用演習〉

 ビジネスにおけるプレゼン・コミュニケーションでは、相手に「動いてもらう」ことが目的です。状況を理解してもらうために説明をしても、相手は自分が思っているほど同じような行動には結びつきません。「~をして欲しい。なぜなら~」というように、相手が「何を」すればよいのかを明確に表現することが大事です。(第13回でその基本を学びました。)

 こうした基本をふまえて、3つの問題に解答してみましょう。問題は進むにつれて複雑になっていきますので、チャレンジしてみましょう。

問題1

 次の発言を「発言者の意図」と「根拠となっている情報」に分けてください。

また契約書を1つ紛失したんです。もちろんコピーを取るようにしているので、普通は内容の確認はできるんですけどね。でも今回はコピーが残っていないみたいなんです。原本を保管庫に入れる前にコピーを取っているはずなのに。前もあったんですよね。誰が受け取ったかもわからないんです。だから契約書の保管作業はダブルチェックしたほうがいいのに。お客さんに連絡して、お客さんがもっている契約書のコピーを取って保管するしかないですよね。前もそれで対応したんです。何度同じこと繰り返すんですかね。この会社やばくないですか? ミス多すぎですよ。

問題1の解説 共感してもらうだけでは伝わらない

 発言者の怒っている気持ちは伝わってきますが、ビジネスマンとしては「現状を改善する」ことが目的です。居酒屋で「ホントやばいよね~」と共感してもらって溜飲を下げて満足しているようではいけません。

 「どんな問題が起きたのか」というのは事実として報告すべきものです。しかし、どうやら何度も起きている事案のようなので、「どうすればよいのか?」という「意図」を明確にして、相手は許可すればよいのか、サポートをすればよいのかを考えやすくしなければならない段階です。

問題1の解答

  • 発言者の意図:
  • 契約書のダブルチェックシステムを構築する
  • 根拠となる情報:
  • 保管・コピーの作業が1人で行われていて、ミスが繰り返されている

 発言者は、意図を明確に持っているにもかかわらず、余計な情報を盛り込みすぎて伝わりにくくなっていますね。

    「契約書のダブルチェックシステムを構築するべきです。なぜなら、保管・コピーの作業が1人で行われていて、ミスが繰り返されているからです」

 とだけ表現すれば「伝わる」のです。伝わるというのはダブルチェックシステムを構築すべきかどうかを受け手が検討するように「動く」ということです。

 発言者が途中から感情的になってしまい、受け手としては「そうだね。この会社はやばいね。あなたは頑張っているのにね」と「共感しておけばよいのか」と誤った方向に「動いて」しまう可能性が大きい話し方だと言えます。(共感してほしいというのが一番の目的なら成功かもしれませんが。)

問題2

 あなたが次の2つの資料を受け取ったとします。どのような行動をとりますか?

資料1: Aという商品がアメリカで流行している

資料2: 日本とアメリカはこの分野では趣向が似ている

問題2の解説 「当然」は「当然」ではない

 プレゼンをしている側は、「当然」と考えてしまうことも、受け手側は同じように考えるとは限りません。以下の回答は、ある経営会議で複数の役員に出してもらったものです。あなたが発表者だったとしたら、「そんなつもりはなかった」と考えるものもあるでしょう。

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