働き方

ビジネスパーソンに必要なのは「没頭力」 仕事にのめり込むための工夫は? (1/2ページ)

 こんにちは。スコラ・コンサルトのプロセスデザイナーの塩見康史です。私は組織開発コンサルティングに携わるとともに、「クラッシック音楽」の作曲家としても活動をしています。今回は、そんな私の芸術創作の経験も参考にしながら、ビジネスと創造性、創造における「没頭」の重要さ、などについて紹介します。

 私は、これからの時代、ビジネスパーソンに最も必要な能力の1つは「没頭力」だと考えています。なぜなら、いまやビジネスの成功の鍵は「創造性」であり、創造性は「没頭」というプロセスを通して発揮されるからです。

 インターネットを検索すれば、世界のほとんどの情報は、いつでも誰でも簡単に手に入ります。誰もがアクセスできる既知の情報の価値は下がります。既知の情報の統計的な処理は人工知能「AI」の得意分野であり、人間がそこで価値を生み出すことは難しくなるでしょう。

 一方で、「既知の情報を創発的に組み合わせて新しいものを生み出す」「全く新しいアイデアを発想する」などの、人間ならではの創造性の発揮は、今後ますます重要になります。

 創造的な仕事には、「没頭」するというプロセスが不可欠です。従って、これからの組織では、メンバーがいかに「没頭」できる環境をつくるかがマネジメントの大きな課題となるのです。

 「没頭」の2つの要素:「未知」と「好き」

 「没頭」には、2つの側面があります。「未知」と「好き」です。

 人は、「未知」なことに取り組むとき、「没頭」状態になりやすいのです。「未知」なことは恐ろしくもありますが、同時に「未知」に潜む可能性に人は憧れや希望を抱きます。「未知」を探検するときに感じる、何が起こるか分からない緊張感とワクワク感が、「没頭」を引き起こします。逆に「既知」のことがらに対しては、「没頭」する必要はなく、決まった手順に従って、効率的にこなしていけばよいのです。

 また、「好き」という気持ちは、「没頭」と密接な関係があります。嫌いなこと、人からやらされている事をしているときは時間の進みが遅く、苦痛を感じるのに、趣味などの「好き」なことをしているときは、我を忘れ、時間があっという間に過ぎていく、というようなことは誰もが経験しているのではないでしょうか。

 「好き」なことに没頭しているときは、その行為自体が目的であり、喜びでもあります。

 私の経験でも、作曲をしているときは、深い「没頭」状態にあります。私は作曲に全ての時間を割くことはできないのですが、それでも創作の際は、人生をかけて、自分の全てを投入するような気概で取り組みますし、作曲という行為そのものから深い喜びを得ています。

 「没頭」は人間を幸せにする

 「没頭」は、幸福の一要素であるといわれています。「没頭」している人は、表面的にはそれほど幸せそうに見えなかったり、逆に苦悩しているように見えることもありますが(私も作曲しているときは結構苦しいです)、内面では深い充実感と喜びを感じています。

 それは、「没頭」している行為が、まさにその人が人生において実現したい目的、手に入れたい喜び“そのもの”であるからです。通常、私たちは何か他のものを得るための手段として、働いたり、勉強したりすることに慣れています。受験に合格するために勉強する、健康増進のために運動をする、等。

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