働き方

全トヨタ労連、2年連続でベア前面に出さず 大手中小格差是正に注力

 トヨタ自動車グループの労働組合でつくる全トヨタ労働組合連合会は17日、令和2年春闘交渉で前年に引き続き、基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を前面に掲げた統一要求を行わない方針を固めた。ベアを意味する「是正分」という言葉を今回も使わない。勤続年数などによる定期昇給を含めた賃上げの「総額」ベースでの要求を傘下労組に促し、大手の水準に引きずられずに中小企業を底上げすることで、賃金格差是正をさらに進める考え。

 トヨタの春闘は自動車業界のみならず産業界全体の賃金相場形成を長年主導してきたが、昨年は経営側が、今年は労使双方が、横並び慣行のままでは格差は縮まらないなどとしてベア相当分を非公表とする異例の対応を取っていた。

 全トヨタ労連はこの日、愛知県豊田市で開いた代表者会議で、「賃金カーブ維持分(定昇分)に月額3千円以上を加えた総額原資を要求する」という統一要求基準の方針案を確認した。昨年と同じ文言で是正分という言葉を入れず、あくまで各労組での「目指すべき賃金」の実現を目標とした総額ベースで要求してもらう考え。来年1月の中央委員会で正式決定する。

 方針案ではこのほか、高卒初任給にあたる企業内最低賃金水準を「16万4千円以上」と統一し、協定化を求めた。非正規雇用の人についても賃上げを要求すると明示。賞与となる一時金は「年間5カ月以上」の水準にこだわるとした。このほか働き方改革として、所定労働時間短縮、年次有給休暇の日数増なども求めていく方針。

 令和2年春闘をめぐっては、労働組合の中央組織の連合がベア2%程度と定昇などを合わせた賃上げ水準を「4%程度」とする方針の一方、経団連の中西宏明会長は賃上げの必要性を認めつつ「従来型の賃上げやベースアップの議論ではなくなっている」と語っている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus