- あなたの考えるリスクは何ですか?
- どこを直せばよいとお考えですか?
→「直せば良い案になる」という前提にもどづいた交渉で共犯関係にしてしまう
ここで聞き手自身の意見がプランに入ると、聞き手は一気に自分の味方になります。聞き手が複数いて、初めてその内容を受け取る人が、リスクについての懸念を口にしたときに、事前に打ち合わせをしておいた人の口から「それについてはさ~」と説明してもらえるような状況を目指します。
たとえば採用プランの件に当てはめてみましょう。
- 「どのような不安を感じていますか?」
- →相手の不満・不安を引き出す
- 「◯月×日の時点でプランBを検討しましょう」
- →要望を受け入れて変更を議論する
このような手順を踏むだけで、先方の満足度も当事者意識もかなり高まります。こうすることで、担当者との打ち合わせで作り上げたプランを再度役員や他のメンバーで正式に決める際、先方役員から「~というリスクは?」という疑問が投げかけられたときに、担当者のほうから「その件については…」という説明が入るのが理想です。
つまり、机上で「決める」作業は全体の半分であり、相手にぶつける段階でやることがまだ半分残っているのです。そういう意味であなたの提案が50点だろうが80点だろうが、成功のためには、聞き手が「残りのリスクに対して対応しよう」という意識を持てるかどうかがポイントです。
「なにか不安は? 要望は?」というオープンな質問では先方から案が出てこない場合に備え、選択肢を用意しておくことも非常に有効です。
- 選択肢Aについてのメリットデメリット
- 選択肢Bについてのメリットデメリット
これらを提示して選択に参戦してもらうのです。これは、プランの実行段階において意識の統一を図るのに非常に役立つプロセスです。
1人で決断するデメリット
1人で決めようとすることは効率的とはいえません。相手を巻き込むことで、より良い決断ができ、その後のリスク対応もしやすくなります。
- 「完璧」を目指して時間が経ってしまいがち
- 相手に当事者意識が生まれないまま、決断後のトラブルに対応できない
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プラン決定プロセスに参加してもらうことで相手が「共犯者」になり解決できる!
何度も言うように「決断」自体が目的ではありません、あくまでプロセスです。「全責任を負う」はカッコいいように聞こえますが、結果が出やすいようなプロセスを選ぶほうが大切です。前回おすすめしたように、みなさんが躊躇する「決断」自体の重みを良い意味で軽くして、他の要素にうまく分散させることがコツです。2回にわたって紹介した工夫や対策により、決断への精神的な不安が軽減できるだけでなく、リスクも軽減できて、良い結果につながることでしょう。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら