《今回の社長を目指す法則・方程式:ADPリサーチ・インスティチュート「エンゲージメントを測定する8つの文章」》
こんにちは、経営者JPの井上です。昨年来、にわかにキーワードとして急浮上している「従業員エンゲージメント」。皆さんも最近あちらこちらでよく目にし、耳にしていることでしょう。これは従業員の企業に対する信頼の度合いを表し、従業員が会社の向かっている方向性に共感して自発的に貢献したいと思う意欲のことを指すとされています。私は、「モチベーション」と「コミットメント」を合成したワードというイメージでとらえて頂くとかなり近しいと説明しています。
そもそも、従業員がどれくらい自社の組織や業務に共鳴しのめり込んでくれるかは、古くて新しいテーマ。上司の皆さんも当然、自分のチームメンバーのエンゲージメントを高め、やる気と活力に溢れた集団とし、率いたいと思われていることでしょう。そこで今回は、従業員エンゲージメントはどうすれば高めることができるのかについて見てみたいと思います。
部下たちに聞きたい8つの質問
今回ご紹介する理論はADPリサーチ・インスティチュートが19カ国において大規模調査を実施した「エンゲージメントを測定する8つの文章」とその結果です(※出典:「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー」2019年11月号特集記事「組織図には表れないチームの力が従業員エンゲージメントを高める」)。
調査をリードしたのは同社の人材・パフォーマンス部門長でもあるマーカス・バッキンガム氏。同氏は、ご存知『さぁ、才能(じぶん)に目覚めよう』の著者でもあります。「ストレングス・ファインダー」を試されたことのある読者の皆さんも多いのではないかと思いますが、これを一躍有名にした人でもあります。
さて、その「エンゲージメントを測定する8つの文章」の設問は次の通りです。
- 私は、会社が掲げる使命に対して心から貢献したいと考えている
- 仕事上で、自分に期待されていることを明確に理解している
- 所属チームのメンバーと価値観が共通している
- 仕事で毎日、強みを発揮するチャンスがある
- チームメイトが私をサポートしてくれる
- 優れた仕事をすれば、認められることがわかっている
- 会社の未来は明るいと強く信じている
- 仕事では常に、成長が求められている
当連載をご愛読くださっている読者の皆さんには、以前ご紹介した「ギャラップQ12(「キュー・トゥエルブ」、従業員エンゲージメント計測の12の質問)」(2019.2.18「あなたや部下は「熱意あふれる社員」か?明らかになる12の質問」と似ている、重なる質問が多いことに気づかれたかもしれません。それもそのはず、バッキンガム氏らは、1980~90年代にギャラップ社が行ってきた関連調査を引き継ぎ、アップデートして今回の調査を策定しているからです。