5時から作家塾

地方活性に一助、「旅をしながら働ける」新サービスが大反響 (2/2ページ)

吉田由紀子
吉田由紀子

 「登録されている方は、大きく2つに分かれます。1つは学生さんです。1週間程度の休みを取らねばならないので、やはり時間に余裕のある学生が多いですね。様々な職業を経験して、自身の仕事感を養っていきたいという方が多いです。もう1つは、地方への移住を考えている方。旅行で地方へ行っても表面的な情報しか得られません。しかし、現地で働いたり、コミュニティーに入ったりしてみると、住みやすい土地なのかどうかが把握しやすくなります。移住希望者は30代の方が多いのですが、皆さん、お試し移住という形でサービスを利用しているようです」

 とりわけ人手不足に悩んでいるのが、地方の農業である。都市部には農業を体験してみたい若者が多いが、アルバイトで働くとなると「数週間以上」という条件が多い。本業を持ちながら、そこまでの長期休暇を取るのは難しい。1週間程度なら初めて農業を体験するには適当な期間ではないだろうか。

 積み重ねが地方活性の一助に

 2014年に実施した内閣府の世論調査によると、「都市地域と農山漁村地域の間で相互に理解を深めるために,両者の間で交流を進めることが必要だと思うか」という質問に対し、89.9%の人が「必要だ」と回答している。

 ここ数年、「関係人口」という言葉を耳にする機会が多くなった。これは「観光以上、定住未満」という新たな地方の活性化のひとつである。都市部の人が、地方に何度も足を運んで親密な関係を築き、支援をしていく。場合によっては現地のコミュニティーに入り、何らかの活動に参加するケースも少なくない。その積み重ねが地方活性の一助となっていくのである。

 「地方では労働者人口が不足しています。しかし最近は、あえて拠点を地方に置くスタートアップ企業が登場するなど、移住者も徐々に増えています。こういった人々は、新しい視点で地方を盛り上げていく可能性を秘めていると思っています。地方の人にとっては当たり前に感じることも、都会の人にとっては斬新に映ることもあるでしょう。そこからイノベーションにつながっていく展開は大いにあります。タイミートラベルを利用する方は、単にお金を稼ぐのが目的ではなく、地方に興味を持ち、体験を通して関わりを持ちたいと考えている方が多いのです」

 始まったばかりのサービスだが、求人件数は増えており、地方の活性化という点で大きな可能性を秘めているように感じる。移住を考えている方、様々な仕事を体験してみたい方、一度利用してみてはいかがだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R)
5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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