社会・その他

「それはおかしい事ではないんだよ」 沖縄の豚コレラ殺処分で自衛官が流した涙 (2/2ページ)

 対象となった7農場の防疫措置が終了したことを受けて陸自の災害派遣が終了した20日、玉城デニー知事(60)は中村裕亮旅団長(54)に「誠にありがとうございました。本当にありがとうございました」と頭を下げた。県畜産課の担当者も「今回ここまでこられたのは、自衛隊の協力があってのことだと実感している」と語る。

 活動に疑問の声も

 ただ、こうした活動に自衛隊を使うことには疑問の声もある。元陸自東部方面総監の渡部悦和氏(64)は「南西諸島に対する中国の脅威が高まる中で、沖縄を取り巻く状況は非常に厳しい。訓練すべきときに、豚コレラの災害派遣は本当に適切だったのだろうか」と話す。

 自衛隊の災害派遣は「公共性」「緊急性」「非代替性」の3要件が満たされたときに都道府県知事が要請できる。「非代替性」とは、自衛隊が派遣される以外に適切な手段がない状態を指す。「各自治体の体力によって『非代替性』があるかどうかの判断は異なる」というのが、防衛省統合幕僚監部の説明だ。

 渡部氏は平成16年に京都府で鳥インフルエンザが発生した際の殺処分支援で現地指揮官を務めた経験から「自治体だけではなく、農協や建設業界には人も機材もある中で、すぐに自衛隊にやらせるのはおかしい」と批判する。

 ただ、災害派遣は自衛官にとって目に見えて「県民の役に立った」と実感できる貴重な機会ともいえる。

 「任務から帰ってきたら、県庁の皆さんから『ありがとうございました』との言葉をいただいて、グッとくるものがあった。『多少きつくてもしようがないやろ』という現場の意見はあった」

 第15旅団隷下第51普通科連隊第3中隊の安田翔一1等陸曹(35)はこう語る。

 第15高射特科連隊第2中隊長の斎藤祐太3等陸佐(34)は「国民の安心と安全のためにこのような任務につくことができ、任務を完遂できたことをとても誇りに思う」と胸を張った。

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