ビジネストラブル撃退道

メンツ気にして「すぐ忖度」 合理的判断ができない“バカビジネスマン” (2/2ページ)

中川淳一郎
中川淳一郎

 無駄な忖度はやめろ

 仕事なんてもんは「さっさとミッション・コンプリート」にすることだけを考えればいいのに、いちいち「体面」「筋」「手順」ばかり重視している。

 これまで当連載でオレは「オレ」なんて書いたことはないが、今回は本気で怒っているので口調は荒い。話は変わるが、コロナウイルス対策にしても、日本の役所やら政治家は「事なかれ主義」で結局感染を拡大した。なんで合理的な判断ができないんだろうか-

 それはいちいち「○○さんが困るかもしれない…」「○○さんの顔を潰すかも…」といった無駄な忖度をするからである。仕事というもので一番重要なのは「もっとも合理的な判断をする」ということでしかない。

 だからこそ、今回のコロナウイルスの件で日本政府が中国人の入国を拒否しなかったのは完全に「悪手」である。様々な忖度先があったのだろう。インバウンド需要を当て込む観光関連業者もあるだろうし、習近平国家主席を国賓として間もなく招くという事情もあった。中韓がかかわると途端に「人権侵害です!」と騒ぐ人への配慮もあっただろう。

 だからこそ、各国が「中国人の入国お断り」を宣言するまで日本政府は中国人の入国を制限できなかった。「差別主義者」認定への恐怖があったとしか思えない。しかも、制限を加えたのは中国全土ではなく、一部地域出身者だ。

 政府がさっさと中国人の入国を拒否し、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」についても船籍を持つイギリスと運営会社のアメリカに対応を丸投げしておけば、いちいち日本が批判されることはなかったのだ。当初、船の運営会社であるアメリカ政府には「アメリカ人を引き取ってほしい」と要求したものの、アメリカは船内に留めるよう要求したとの報道もある。それなのに米メディアから日本政府は叩かれまくり、踏んだり蹴ったりだ。

 仕事というものはとにかく自分が怒られないために、合理的判断を続け、非難されるべきは自分以外の誰か、という状況を作るのが得策である。それを肝に銘じて仕事はした方がいい。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう) ネットニュース編集者
PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』『バカざんまい』など多数。

【ビジネストラブル撃退道】は中川淳一郎さんが、職場の人間関係や取引先、出張時などあらゆるビジネスシーンで想定される様々なトラブルの正しい解決法を、ときにユーモアを交えながら伝授するコラムです。更新は原則第4水曜日。アーカイブはこちら

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