働き方ラボ

新型肺炎レベルの難局で一社員がすべきこと 将来に備えてリスク管理を学べ (1/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 ビジネスパーソンとしてできることを考える

 今、そこにある危機といえば、コロナウイルス問題だ。日本国内でも感染者が広がっているのは報道されている通りだ。経済的影響が甚大であることは確定的だと言っていい。グローバルなサプライチェーンに影響する。日本への渡航者が減少するだけでなく、国内の消費にも影響する。

 各種イベントの中止や延期も続いている。東京五輪の開催を危ぶむ声もある。ロンドンが東京で開催できない場合の開催地として名乗りをあげたが、これだけ世界各国に影響を与えているとこれも厳しいと見ざるを得ない。

 ただ、政官財などそれぞれの立場の人が危機を乗り越えようと頑張っている状態に水をさすつもりはないが、日本の危機管理については今回も首を傾げざるを得ない。海外メディアで叩かれているのは周知の通りである。未曾有の事態ではあるが、特に政治家の対応などは後手後手と言っていい。まるで映画『シン・ゴジラ』の前半を見ているかのようだ。政治家も官僚も対応しきれない。エラーだらけの野球が、いま展開されている。

 自分の目の前で起きていることにもふれておこう。各大学は卒業式や入学式の中止や、小規模化をすすめているし、入試への配慮を行う大学も現れた。就活においては、リクナビが合同説明会を中止した。決行を決めた説明会でも、参画を見送る企業が現れた。動画を活用した会社説明会、ビデオ面接を行う企業もある。さらには、面接でのマスク着用を認める企業も。趣味の音楽に関していうと、外国人アーチストの来日(さらにはアジアツアーの)キャンセルが相次いでいる。ライブを決行するにしても、グッズの生産が間に合わないという事件も起こっている。この10年で音楽業界はCDからライブ、グッズに儲けの柱をシフトしたので、打撃は大きい。

 こんなときに何をするべきか? いちビジネスパーソンとして、できることを考えてみよう。

 不安を煽るわけではないが、これは世界の危機であり、国難である。ただ、天災や事故などと違うのは、誰が感染しているのか、どこまで広がっているのかを明確にすることができないことだ。個人としては感染することが怖いが、「被害者」になるだけでなく「加害者」になることも怖い。感染すること、させることを防がなくてはならない。その理由から、チケット争奪戦を突破して、楽しみにしていたPerfumeの25日の東京ドーム公演に行く予定だったが、自粛することにした。親として、教育者として数万人が集まる場所に行くことに危険を感じたからだ。主催者は25日のライブを決行したが、来ない人は払い戻しという対応だった(※26日の公演は所属事務所が当日に中止を発表)。

 「コロナの恐怖の中、決死で働いた○○さんは偉い」というような物語のヒーローになることを目指してはいけない。このような行為は、美談のようで信頼を失う可能性がある。もちろん、業務の性質上、このような環境下でも働かざるを得ない人がいるということは認識しなくてはならないのだが。

 社会や会社の方針に従って、アポをキャンセルしたり、リモートワークにせざるを得ないこともあるだろう。やむを得ないが、これ以上、危機を深刻化させないためにも英断が必要だ。もろもろ、サービスレベルを下げざるを得ない状態もありうるが、寛容でありたい。

 寛容といえば、政府もリモートワークの活用を呼びかけているし、企業でも推進の動きがある。あたかもリモートワークが万能の杖のように喧伝されているが、冷静になりたい。この手の話は、リモートワークをやったことがないか、フリーランスの立場での在宅ワークと1対1のビデオ通話くらいしかやったことがない人の意見である。

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