最強のコミュニケーション術

日本人は他者を信用しにくい 道徳心はあるのに「自分1人くらい」と思う理由 (2/2ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

 日本人は他者を信用できない!? 協力をあおぐときのコツ

 「自分だけ損をするのは嫌だ」という感情は誰にでもあるものですが、特に日本人はその傾向が高いようです。日本には「正直者はバカを見る」という言葉があるように、何かを我慢してよい結果に繋げようというとき「他の人も協力するだろう」と信頼できる気持ちが私たちには足りないのかも知れません。他者を信頼できずに協力をやめるという傾向は、アメリカ人よりも日本人のほうが強いことを指摘している研究もあります(※1)。

 協力を依頼するときには、こういった特性をふまえ、以下のポイントに気をつけてみてください。

 ・具体的にやってほしい行動と、その行動が必要であることをハッキリ伝える

 「やってもらえたらいいな」というニュアンスでは、自己利益を犠牲にして動いてくれる人は少なくなります。

 ・職場の全員が協力するということを伝える

 職場において公平性は重要です。「自分だけ損をするかもしれない」と思われないように、職場の全員が我慢して同じ行動をとるということを強調し、責任感、信頼感を持てるように伝えましょう。

 ・協力した人が損をしないようにするということを伝える

 協力しない人が得をしないようなマネジメントが大切です。協力をしたかどうかをチェックすること、協力をしない場合にはなんらかのペナルティを設けるなどの工夫をしましょう。

 ウイルス影響下でのトイレットペーパーの買い占めのように、顔の見えないコミュニティの場合、個人を優先する傾向が強くなりますので、これらのポイントに加えて、「問題の深刻さを理解してもらう」「問題解決のためのルール導入」などのアプローチも必要になります。

 「自分1人くらい」と考える人を減らすための“セット”

 職場で、信頼感を築き、「1人くらいサボっても大丈夫だろう」と思ってしまう人を少なくするためには、普段から公平さが保たれるような職場にしておくことが重要です。「職場がまわっていればそれでいい」と考えるかも知れませんが、利己的に動いてしまう人がいると、「協力行動は損」だと認識されてしまいます。協力依頼は全体に向けてのアナウンスだけでなく、その後の進捗状況の把握、できていない人への個別フォローまでセットにするのが大切です。

 協力行動の浸透を促す3点セット

  •  1.依頼のアナウンス
  •  2.アナウンス後の状況把握
  •  3.協力行動していない人への個別フォロー

※1

Frank, R.F.: Passions within reason: The strategic role of the emotions. W. W. Norton, New York, 1988. (山岸俊男〈監訳〉: オデッセウスの鎖:適応プログラムとしての感情, サイエンス社,1995.)

藤田尚弓(ふじた・なおみ)
藤田尚弓(ふじた・なおみ) コミュニケーション研究家
株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus