ミラノの創作系男子たち

イタリア食材の伝道師 隔離生活でも「走り回る」 (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 「こんな日々でも、いつでも食や技術などについて研究しているよ。味と香りの組み合わせ具合とか。例えば、クリスマスに食べるパネットーネのようなイタリアの伝統的な菓子も、砂糖を減らす、あるいは全く使わないとかね。また、子どもと一緒にショートパスタをつくったりもするし(笑)」

 そういえば、最近、中国から打診を受けていることがある。それは赤ん坊用の食品の開発だ。ベビーフードの安全性への関心が高いためだ。星付きシェフの食品が望まれる背景である。

 一方、イタリア食品の輸出やイベントも含め、多くのプロジェクトが中断している。なかなか営業再開がはかれない飲食店は、これからも苦難の道が予想されている。特に店内で「社会的距離」を維持するとなると、今までのような席数を用意することは難しい。だからこそ、持ち帰りや宅配サービスの内容充実などやるべきことは多い。

 ぼくもこの2カ月間、自宅だけで食事をしてきて、やはりたまに賑やかなレストランの雰囲気を懐かしく思う。だが、それ以上にプロが作った料理を食べたいとの願望が日に日に募る。舌が、身体が求めるのだ。

 そう思っているとき、エロスと電話で話したのである。彼がこの異例の生活で深めたさまざまなアイデアが、夏以降、一気に爆発するはずだ。具体化されていく様子が目に見えるようだ。とても楽しみである。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。

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