CAのここだけの話

ウィズコロナ時代の航空業界 ニューノーマルな空の旅をCAがご案内 (1/2ページ)

山崎秋菊
山崎秋菊

 SankeiBiz読者のみなさんだけにCA(客室乗務員)がこっそり教える「ここだけ」の話。第81回はアメリカ系航空会社に勤務し、乗務2年目の山崎秋菊がお送りいたします。

 日本をはじめアメリカでも経済活動の全面再開に向けて動き出しています。経済活動を、新型コロナウイルス感染の「第2波」を招かないように、どう軌道に乗せていくかということが問われている今、業界を問わず様々な職場で、試行錯誤ののち「ニューノーマル(New Normal=新しい当たり前)」が導入され始めていると思います。

 私が勤務する航空会社でも、少しずつではありますが、航路によってはお客様の予約数が右肩上がりになってきています。しかし、まだまだ油断はできないのが現状です。今回は航空業界におけるニューノーマルの一部をお話しします。

 マスクがないと乗務すらできない

 アメリカでは少し前まで任意だった機内でのマスク着用が、今では必須となりました。CAは、マスクの在庫を切らしていたり忘れてしまった場合は乗務できない会社もあるほどマスク着用が徹底されています。日本のようにマスク文化が定着していないアメリカでは、このマスク着用必須は大きな社会的変化なのです。

 アメリカでは笑顔で挨拶を交わすのがマナーですが、CA職においては、白い歯、満面の笑顔でお客様をお迎えすることも大切な業務の一部です。そのため、マスク着用によってそれができないことには少し歯がゆい思いもしますが、お客様の安全と健康を第一に守るために、万全な環境でお客様をお迎えするという使命のもと、CAも新しい業務体制に柔軟に対応する能力が求められています。

 ソーシャルディスタンス保つために便や出発日変更も

 また、機内でソーシャルディスタンスを保つための工夫もされています。予約が少ない便では、できる限り席の移動を行い、お客様を機内に分散させることで、乗客同士のソーシャルディスタンスを保っている航空会社が多くあります。

 ほぼ満席が予想され、席の移動などが困難になると思われる便に予約されたお客様には、事前にご連絡し、便や出発日が臨機応変に変更できるよう配慮している航空会社もあります。

 このように航空会社によって様々な工夫がされていますので、今後飛行機に乗る機会があれば、それぞれの航空会社がどういった対策をとっているのかに注目すると良いかもしれませんね。

 体温チェックと分散搭乗・降機

 CAのマスク着用が必須になっても、万が一熱や症状があってはお客様も安心できませんよね。そこで、私が勤務する航空会社でも、勤務前の体温チェックが必須になりました。ある一定体温以上の熱があった場合は、その日の勤務を辞退しなくてはなりません。

 またアメリカでは、TSA(米国運輸保安局)が全乗客に対して行う出国審査に、乗客の体温チェックも追加で義務付けるようにするための準備を進めているようです(6月上旬現在)。空港は様々な国と地域から人が集まる場所ですので、念には念を入れて事前にチェックすることで、機内でより安全な環境で、快適に移動できるようにします。

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