社会・その他

音楽用語「アーバン」禁止に? 差別的ニュアンスめぐり議論高まる

 人種差別に対する抗議が世界中に拡大するなか、音楽業界においては差別根絶に向けた一歩を踏み出すカギとなる「アーバン」という一語の使用をめぐる議論が高まっている。

 アーバンをめぐっては、世界3大レコード会社の一角を占める米ワーナー・ミュージック・グループが黒人アーティストの作品を指す語として使用を止める計画であるほか、米ラジオ放送最大手のアイハートメディアもヒップホップやリズム・アンド・ブルース(R&B)といった表現に段階的に替える。関係者が明らかにした。

 これに先立ち、多くの黒人大物スターが所属するレコード大手、米ユニバーサル・ミュージック傘下のリパブリック・レコードは5日、この表現の社内使用禁止を発表した。

 音楽業界は5月末以来、人種差別撤廃の対策費に数億ドルを拠出することや黒人幹部の増員を誓約するなど、黒人社会に対する支持表明に追われている。ジャズやロック、ヒップホップ、R&Bなどの人気の高い音楽ジャンルを生み出してきた黒人アーティストの貢献抜きに音楽業界を語れないからだ。

 ラップやR&Bなどの音楽ジャンルをアーバンと総称する本来の意図は、白人アーティスト作品との区別だとの見方もあり、巧妙で悪質な人種差別だと憤るアーティストや企業幹部は多い。アーティストのプロデューサーやマネジャーを務めるナタニエル・コクラン氏は「黒人に対する敵対心からこの言葉を使う白人もいて、ずっと非常に不愉快な思いをしてきた」と話す。

 アーバンが一つの音楽ジャンルを表すようになったのは、ニューヨーク市のFMラジオ局WBLSのDJ、フランキー・クロッカー氏が曲を紹介する際に「アーバン・コンテンポラリー」という語を使ったのが最初とされる。ラジオ局は1940年代終盤から50年代にかけて、それまで採り上げることのなかったブラックミュージックをにわかに流し始め、熱狂的ブームが起きた。新しい音楽ジャンルの呼称の誕生は、多くの黒人の企業幹部への昇進につながり、現在もこの語の廃止に消極的な黒人の古参幹部は多い。

 だが、近年はこうした包摂的な意味合いが薄れ、黒人アーティストを排除する時代遅れの表現との印象が強まってきた。米出身のラッパー、タイラー・ザ・クリエイターさんは1月のグラミー賞授賞式で「アーバンは黒人に対する差別用語を政治的に正しい言い方にしただけ」と語った。アーティストが声を上げる傍らで、適正な言葉の選択や使い方をめぐる企業幹部の議論が続いている。(ブルームバーグ Lucas Shaw)

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