縦横無尽にコミュニケーション手段を使い分ける
ビフォーコロナから私たちは、対面、電話、メール、SNSなどをTPOに合わせて使い分けコミュニケーションを行っていました。リモートワークになり、ここに大きく食い込んできたのがZoomなどのビデオ会議です。またこれまで以上にSNSの活用頻度が上がったり、Slackなどのコミュニケーションプラットフォームを導入されたりした企業も多くあると思います。
片桐さんが第2の力に挙げる「マルチコミュニケーション力」は、<性善説で、メール、電話、ビデオ会議、チャット。1on1、1対n、n対nのコミュニケーションを使い分ける(重ねて使う)>力を指しています。これを機能させるためには、性善説、お互い様の心で、コミュニケーション密度を上げ、信頼関係を築くことだとおっしゃっています。
テレワークでは、お互いが自宅の風景などプライベートに踏み込む姿を(図らずも)共有する(してしまう)ことも少なくなく、時にお子さんやパートナーの乱入があったりします(笑)。こうしたことに寛容になって受け入れ合うことも大事であり、また、密なコミュニケーションを図るためにマルチなツールと形式を駆使すべきではありますが、一方ではプライベートに踏み込まない礼節も、テレワークをお互い健康的に継続するためには、非常に大事なことですね。
お互いがアクティブに働いている状況の共有=安心感、信頼感
さて、第3の力である「成果の見せる化力」。上司の皆さんがテレワークになって最も悩まれているのが、「部下のマネジメントがしにくい」「部下の働く姿が見えず不安」ということです。ご自身の働く姿を上役、社長に見せにくいことにもお悩みかも知れません。
本来、テレワークであろうがなかろうが、部下の働く姿(動作)を常時監視・管理しようという発想自体が間違っていると思うのですが、成果主義的働き方、「ジョブ型」雇用への移行議論はひとまずここでは棚上げしておいて、上司と部下の間で、あるいは同僚間で、<いかにお互いの働く姿、気配を共有しておくか>という方向での解決策を考えてみましょう。
片桐さんがお薦めするのが、<「常時オンライン風」の自分を作りコミュニケーションのキャッチボールをする>ことです。私自身も当社でメンバーたちと業務をしていてそうなのですが、オンラインミーティング以外はほぼほぼメールでの業務やり取りなのですけれども、お互いがそれぞれ並行して走っている各プロジェクトに対して、常時キャッチボールでのやり取りができている限り、「あれ、働いているのかな?」などと思うことは一切ありません。
別に常に即レスでなくとも、数十分、あるいは数時間の間でお互いの返信が自然と行われており、また業務については私を含めて全社員のカレンダーが共有されていて予定が書き込まれていますので、誰が今何をしているのか、概ね把握できています。ちょっと自慢ですが(笑)、経営者JPではもともと全社員が「成果の見せる化力」を身につけていたので、スムーズにフルリモートワークにスイッチできたのだと感謝しています。
いかがでしょう? テレワークを健康的に継続するには、ご紹介した中で特に、ルーティン力、気分スイッチング力、強制終了力あたりが大事だなと実感しています。読者の皆さまもぜひ、息切れしないよう注意しつつ、「3つの力」を活かしてニューノーマル(新常態)なテレワーク上手上司となって頂ければと思います。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら