今日から使えるロジカルシンキング

Netflix独走の立役者はオリジナル作品にあらず 死んだ在庫も売る力 (3/3ページ)

苅野進
苅野進

 「売った実績」が「企画力」の源泉になる

 すでに制作された作品をNetflixに「卸す」理由は、ただ一つです。自分たちよりも売ってくれるからです。つまり、「自分たちで売ることができる」コンテンツホルダーは、Netflixを頼りません。わかりやすい例では、ディズニーは自前でサービスを始めています。スタジオジブリは日本、アメリカではかなりの知名度ですので不参加、しかしそれ以外の国々ではNetflixの力を借りる必要があるので参加しています。このように、Netflixも有力コンテンツホルダーの自前サービスとのせめぎ合いが始まっています。

 このような競争が始まると、やはり「コンテンツの確保」で一番確実なのは自前制作です。Netflixは「ハウスオブカード」というドラマの大成功をはじめとして、数々のオリジナル番組を作っています。ストリーミングサービスの成功による利益をコンテンツ調達・制作へと潤沢につぎ込んでいるのです。

 いわば番組のセレクトショップであったNetflixが「販売」で培った知見を、オリジナルブランド、プライベートブランドに活かそうという新しいようで古くからある流れともいえます。

 これは既存のコンテンツ制作者を大きく揺るがすはずです。しかも揺るがされていることになかなか気づきにくいものです。「データで面白いものが作れるのか」という職人気質による批判的な見方がありますが、Netflixの成功パターンはここまではかなり再現性が高くなっています。

 もちろんヒットは水物です。しかし、販売データを駆使してラインナップを考えていく方針は、商品である番組の数が増えれば増えるほど全体としては成功の割合が大きくなってくるでしょう。

 私が申し上げたいのは、0から1を作り出そうという「ビジネスアイデア」の部分だけに注力していると立ち行かなくなりやすいということです。1を10に拡大していくためのセールスの様々な工夫や情報収集は、やがて高確率で10まで育つような1を作り出すシステムに進化していくということです。

 「現場」が顧客との直接会話から顧客の行動・購買データへと変わりつつはありますが、「現場」でデータをいかに集め・活用するかは「ビジネス」のKSFだと言えるでしょう。

苅野進(かりの・しん)
苅野進(かりの・しん) 子供向けロジカルシンキング指導の専門家
学習塾ロジム代表
経営コンサルタントを経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップによって「上手に試行錯誤をする」「適切なコミュニケーションで周りを巻き込む」ことで問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組んでいる。著書に「10歳でもわかる問題解決の授業」「考える力とは問題をシンプルにすることである」など。東京大学文学部卒。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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