社長を目指す方程式

コロナ後の切り札として脚光 「発見力」を高める5つのスキル(前編) (1/2ページ)

井上和幸
井上和幸

 《今回の社長を目指す法則・方程式:クレイトン・クリステンセン「イノベーションのDNA」》

 いま、あらゆる業種業界が、自社の事業やサービス・商品について「ウィズコロナ・ポストコロナ仕様として、何が正しいのか」を懸命に模索しています。また私たち働く一人ひとりが、ソーシャルディスタンスを保ちながらいかに適切に業務を行うかについて試行錯誤しています。大きなことから足元のことまで、今私たちに求められているのはビフォーコロナの既成概念、固定観念から脱して物事を考えたり正解を見つける力です。

 「答える力」だけでは立ち行かなくなった現在

 このような状況の中、「答える力」(課題解決力)以上に「見つける力」(発見力)に光が当たっています。決して「答える力」(課題解決力)が不要になったということではありません。それだけでは済まなくなっている、既に存在している課題やテーマを解決するだけではVUCAと言われる大激変・不透明な時代に生き残れなくなっているということです。

 「地頭力」「アナロジー思考」の細谷功さんはこの8月に『問題発見力を鍛える』を発刊。今回メインで取り上げる『イノベーションのDNA』の共著者、ハル・グレガーセン氏の『問いこそが答えだ!』も日本語版が3月に発売されています(原書は2018年に刊行)。そもそもこの数年、デザイン思考に光が当たってきたのも、分析思考では解決しえない新たな着想や発見がビジネスのあらゆる側面で必要となりつつあったことからだと思われますが、それが今回の新型コロナ禍によって加速していると言えるでしょう。

 そして今回、「見つける力」をテーマに上司の皆さんにぜひともご紹介したい法則・方程式が、クレイトン・クリステンセン氏の「イノベーションのDNA」です。クリステンセン氏らは同書の中で、優れたイノベーターは「発見力」が高く、その「発見力」を高めるには5つのスキルが発揮されていることを明らかにしました。

 「発見力」の土台は、<あちら>と<こちら>を「関連づける力」

 それら5つのスキルは、「関連づける力」「質問力」「観察力」「ネットワーク力」「実験力」です。

 イノベーターは、決して無から有を生み出している訳ではありません。通常では結びつかないような<あちら>と<こちら>のものを、「関連づけ」の認知スキルをふんだんに働かせて結びつけることで新たなものを見つけたり生み出したりしています。関連づけが起きるのは、脳が目新しいインプットをさまざまな形で組み合わせ、理解しようとするときです。この能力のおかげで、イノベーターは一見無関係に見える疑問や問題、アイデアを結びつけ、新しい方向性を見出すことができるのです。

 そもそも画期的な飛躍的前進は、多様な領域や分野が交わるところで見られることが多いですね。著述家のフランス・ヨハンソンは、この現象を「メディチ現象」と名づけました。ルネサンス期のメディチ家が彫刻家、科学者、詩人、哲学者、画家、建築家などと様々な分野から優れた人材をフィレンツェに呼び集めたことで世界市場史上最も革新的、創造的な時代、ルネサンスが開花したことに呼び擬えたものです。

 イノベーターは次の4つのスキルを駆使して、イノベーティブなアイデアの元になる<アイデア成分>の在庫を増やし、「関連づける力」を誘発するのです。

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