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「半沢直樹どころじゃない」コロナ不況下の出向・左遷・社内派閥バトル (1/2ページ)

 ドラマ「半沢直樹」(TBS系)が絶好調だ。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「ドラマ内では失脚した社員は出世競争に敗れ、出向させられていますが、現実はさらに厳しい。コロナ不況で9月以降、出向・転籍、希望退職者募集などでリストラを始める企業が増えそうです」という--。

 「半沢直樹どころじゃない」イマドキ企業の出向・左遷・社内派閥

 ドラマ「半沢直樹」(TBS系、日曜夜9時)が高視聴率を維持している。

 ドラマはメガバンクの陰湿な派閥争いに巻き込まれた、堺雅人演じる主人公・半沢直樹の出向からストーリーが始まる。ドラマの出向は出世競争に敗れた人、あるいは不祥事の責任をとらされた片道切符の左遷というイメージだが、確かに昔の銀行はライバルを蹴落とすための出向もあった。

 大手銀行の元人事部長からこんな話を聞いたことがある。

 「部長・役員レースになると、陰湿な手口を使って相手を蹴落とすための暗闘もある。たとえば、以前は上司と部下の良好な関係を築いていても、部下が自分の地位を脅かすような存在になると、平気で部下を追い落とすことも珍しくない。よく使われる手口が出向だ。上層部に『あの会社を再建できるのはA君しかいません』と上申し、銀行内から追い払う。あるいは、過去の懲戒記録を調べて、社外で酒に酔って他人とケンカし、警察沙汰になったことの噂を流して出世の芽をつぶし、出向させたこともあった」

 まさにドラマを地でいくやり方だが、今の銀行は低金利下で生き残りに必死であり、内部で暗闘を繰り広げる余裕もなくなっている。

 蹴落とす手段に使われる出向先の関連会社や取引先も経営的にゆとりがなくなり、特に無能な人間ほどやんわりと受け入れを拒否されるという話もしばしば耳にする。今では銀行も以前ほどの力を失っている。

 現実のビジネス社会でも半沢直樹タイプが本社に復活できる

 また、出向は左遷というイメージがあるが、一般的な出向は必ずしもそうではない。

 上位の役職で子会社に出向させて経営術を学ばせる人材育成の出向もあれば、新規事業会社の現場で修羅場を経験させて本人の実力を見極める出向もある。特に総合商社の事業会社への出向はその傾向が強い。

 仮に社内の出世競争に敗れて子会社に出向しても復活のチャンスもある。復活のためには、出向先での仕事の評価が大きく影響するが、情報通信会社の人事部長は2つのタイプに分かれると語る。

 「上のポストを狙っていた課長職の社員が子会社に飛ばされると誰しもショックを受ける。ただ、子会社に行ってもそのショックを引きずって腐ってしまう人と、気持ちを切り替えて目の前の仕事にコツコツと取り組む人の2つに分かれる。腐ってしまうと、子会社でも斜に構えたような態度になり、全力で仕事に取り組むことがなくなり、二度と復活することはなく、子会社でもお荷物になっていく。一方、新しい仕事でも前向きに取り組み、しっかりと業績を上げていく人は子会社での信頼が厚くなるだけではなく、本社でも『あいつは子会社に出されても、なかなか打たれ強い』と評価され、本社に戻されることもある」

 後者のタイプは出向先でもめげることなく活躍する半沢直樹に似ている。

 大事なことは、どんな不遇な環境に追い込まれても、新たに出直す覚悟と努力を絶やさないことだ。組織も人間社会だ。腐ることなく真面目に仕事をしていれば拾う神もいるということだ。

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