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ニューノーマルに「おしゃれなマスク」はふさわしいか? (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 今週、ファッションブランドであるブルネッロ・クチネッリのミラノのショールームに出かけた。2021年春夏シーズンのコレクションを「リアルなカタチで発表」したのだ。意外なことに、社長のクチネッリからモデルに至るまで、関係者は誰一人としていわゆるファッショナブルなマスクを着用していなかった。彼らがつけていたのは機能ありきのおなじみのマスクである。

 これまでマスクの習慣がなかったミラノでは、パンデミックに突入してからというもの、ファッショナブルなマスクが氾濫している。服とマッチしたマスクをすることがセンスの発揮どころとばかり、店に行けばネクタイと同じ柄のマスクがセットで売られている。ポケットチーフと同じ位置づけだ。

 したがって、お洒落であることを自認している人たちは、白や薄いブルーの従来の機能重視型のマスクをつけない。そうした人たちが集まるような場に白いマスクをつけていくと、逆に肩身が狭いくらいだ。

 だからファッション企業の新作コレクションの発表の場は、服とマスクの統一感を優先したスタイルが主流だろう、とぼくは疑っていなかった。ところが、ブルネッロ・クチネッリのショールームに入ると、ファッショナブルなマスクをつけている人など1人もいなかったのである。

 社長のクチネッリに理由を尋ねると「マスクがマスクとして機能することが大事」とのコメントが戻ってくる。

 パンデミックに生きるとは、それまで非日常とみなされてきたことを日常に吸収させる(あるいは抵抗の少ないカタチに変える)という考え方が定着している。マスクならば「オシャレなマスク」をつけることが、ニューノーマルに最適合した記号であると見られやすい。

 しかし、クチネッリの方針を実際にみてハッと我に返った。

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