最強のコミュニケーション術

なぜあなたの謝罪では許されないのか 相手の怒りを緩和できない4つの理由 (2/2ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

3.「保身の態度」だと思われている

 謝るときには、どうしてそうなってしまったかという事情説明が必要です。しかし、説明が、相手には言い訳や釈明に聞こえるというケースも少なくありません。

 例えば、約束の時間に遅れてしまったとします。皆さんはどのように謝るでしょうか。「すみません、電車の遅延で」など、遅れた理由についての説明からはじめてしまうと、言い訳と感じられてしまうことがあります。ちょっとした遅刻という些細なことでも、最悪な場合には「この人は潔く謝らず保身をしたい人なんだ」と判断されてしまうことがあります。大したことはないと感じるミスのときでも、保身だと思われないよう謝罪したいものです。

脳が自分を守ろうとするときの思考

 対処法としては、謝る順番を意識し、事情説明はなるべく後ろに持っていくというのがお勧めです。まずはお詫びの言葉を述べ、自分が悪かったとハッキリ言葉で伝えます。その後に「外で待っていて、暑かった(寒かった)ですよね」など相手を気遣うようにしましょう。説明はそれからでも遅くありません。

 「このくらいで大げさ」など、自分がやってしまったことを軽く考えたくなると思いますし、「自由に時間を潰してくれたらよかったのに」と相手を非難するような気持ちになってしまうこともあると思います。このような思考は、脳が自分を守るために起きやすくなっているのだと考えてみてください。

 自分に非があるのを棚にあげて責めるような態度は、相手を二度傷つけます。大事にされていないという気持ちは少しずつ堆積して、良好な関係を不安定にします。「許してもらえるだろう」と軽く考えないようにするのは、相手のためだけでなく、自分のためでもあるのです。

4.「事態の修復」について言及していない

 言葉や態度で反省の気持ちを伝えるだけでは解決しない問題もあります。例えば、仕事で相手に損害を与えてしまったとします。心から謝罪して、相手に反省の気持ちが伝わったとしても、与えてしまった損害をどうするのかということに言及しなければ許してもらえないケースもあるでしょう。起きてしまった被害をどのようにリカバリーするのか。場合によっては損害賠償などについても話し合う必要も出てきます。

覚悟を決め「補償」に言及

 対処法としては、謝罪とセットでどのように被害を回復させるのか、具体的な方法を伝えるというのがお勧めです。補償についてまだ決められない段階であれば、そのことを正直に伝えることで、補償の気持ちはあるということが伝わります。

 自分の責任について認めること、まして補償について言及するのは勇気が要ることです。会社に迷惑をかけることもあるでしょうし、一時的に評価が下がることもあるでしょう。しかしきちんとした対応をすることに伴うマイナスよりも、うやむやにするような態度で信頼をなくすことのほうがマイナスです。覚悟を決めて誠実に対応することは、目の前の相手のためでもありますが、自分の将来のためでもあることを思い出し、少しでも心を軽くしてあげてください。

まずは自分の過失や責任に向き合う

 謝罪には相手の怒りやショックを緩和する効果がある反面、責任の受容や補償が伴うこともあります。そのためしっかりした謝罪を心がけないと、無意識に保身や釈明と思われるような謝罪の仕方をしてしまうことも少なくありません。謝罪のシーンでは、使う言葉、態度、表情などから、本当の謝罪なのかどうかを見極められます。謝る前に、自分の過失度合いや責任の有無について考え、自分が悪い場合には反省の気持ちがしっかり伝えられるように心がけましょう。

藤田尚弓(ふじた・なおみ)
藤田尚弓(ふじた・なおみ) コミュニケーション研究家
株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら

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