今日から使えるロジカルシンキング

LVMH流ポートフォリオ経営はなぜしぶとい? ティファニー買収で戦力はより厚く (2/2ページ)

苅野進
苅野進

 地域性としてはどうでしょうか。LVMHが10月に発表した資料を見てみましょう。

 ヨーロッパのブランドグループですが、ヨーロッパ以外でヨーロッパの3倍近くを売り上げています。「ヨーロッパ1:アメリカ1:アジア2」といった割合ですのでバランスよく分散させていると言えます。

 「これからはアジアの時代だね」とか「ルイヴイトンのような、これ見よがしのブランドよりも今はセリーヌのような落ち着いたのがいいね」といった「流行や景気の移り変わり」を吸収できる体制がまさに「ポートフォリオ」戦略なのです。

 今のところ、大きな集合体は資金が豊富なので、ビジネストレンドとしては各分野で、このような大企業集合体が生まれる流れが強くなっています。

スキルやキャリアも「ポートフォリオ戦略」

 このポートフォリオという考え方は、なにもLVMHのような超大企業だけに当てはまるものではありません。個人のスキルを増やすことや、副業を考えることなどでも応用できます。「移り変わり」「流行り廃り」への準備は、これまで以上に大事になってくる時代ですので、ぜひみなさんも視野を広げてみてください。上手なポートフォリオのコツは、「いままでの経験・資産を活かせるが、今の分野とは関係ない、もしくは相反する分野を選ぶ」です。

苅野進(かりの・しん)
苅野進(かりの・しん) 子供向けロジカルシンキング指導の専門家
学習塾ロジム代表
経営コンサルタントを経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップによって「上手に試行錯誤をする」「適切なコミュニケーションで周りを巻き込む」ことで問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組んでいる。著書に「10歳でもわかる問題解決の授業」「考える力とは問題をシンプルにすることである」など。東京大学文学部卒。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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