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「南相馬の人たち喜ぶ」 全米図書賞の柳美里さん、オンライン会見

 米国の代表的な文学賞、全米図書賞翻訳文学部門に輝いた芥川賞作家の柳美里さん(52)が19日、自宅のある福島県南相馬市からオンラインで会見し「すごく久しぶりの文学賞。受賞できたら南相馬の人、福島の人たちが喜ぶなあという気持ちが大きかった」などと喜びを語った。

 東日本大震災の後、神奈川県から移住した福島県南相馬市で、平成30年に開いた書店「フルハウス」から会見に臨んだ柳さん。受賞発表前にも「地元の方々から『とれるといいね』と口々に言われていた」と明かし、「芥川賞など20代の頃の文学賞は自分のためのものだったけど、今回は地元の皆さんへのプレゼントになれば」と喜んだ。

 受賞作「JR上野駅公園口」は、1964(昭和39)年の東京オリンピックの前年に福島から出稼ぎのために上京した男性の生涯を描く。上野公園で寝起きするホームレスの人々の姿を通して、貧富の格差や自殺といった現代日本の影にも切り込む。

 創作活動を始めてから約30年、一貫して「『居場所のない人たち』のために書いてきた」と柳さん。「新型コロナウイルス感染拡大の影響で行き場のない絶望感が深まる中、社会の隅に追いやられた人の物語に共感してもらえたのではないか」と話した上で、「震災を体験した南相馬の方たちの話が地層となって生まれたのが今回の作品。私の物語というよりも相馬の物語。これからも首都圏で暮らしていたころとは違う物語を書いていくと思います」と抱負を述べた。

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