社長を目指す方程式

「やられたらやり返す」はやはり正しかった? 上司の人間関係学 (1/3ページ)

井上和幸
井上和幸

《今回の社長を目指す法則・方程式:ロバート・アクセルロッド「しっぺ返しの法則」》

 「半沢直樹2」の大ブームは今やすっかり「鬼滅の刃」に上書きされてしまいましたが、思い返せば今シーズンでは「倍返し」よりも「恩返し」のほうをドラマで強調しSNSでの話題もこちらに軍配が上がったところに、7年前とは異なる昨今の風潮があったようにも感じます。

 一部では「倍返し、10倍返し、1000倍返しと、徹底的な仕返しを礼賛するのは如何なものか」という批判もあった半沢直樹。ところが、「やられたらやり返す」のは正しい行動であるという理論があるのです。

 最終的に勝つのは「最もシンプルなしっぺ返し戦略」

 私たちは日頃、顧客やベンダーとの取引関係において、また社内においても部門間や時には上司・部下の関係においても、様々な駆け引きをしながらお互いの利害調整を行なっています。一般的な心理としては、特に相手が相当気心知れた人でない限り、どうしても「相手に出し抜かれるのではないか」という心理的プレッシャーが働くものです。

 ゲーム理論で有名な<囚人のジレンマ>においては、本来お互いが協調しあえば最大利得を得られるものの、相手の裏切りが怖くて結局多くの場合、落ち着く先は「若干のLOSE-LOSE」となることが知られています。

 私たちの取引関係や人間関係は、1回限りというよりも、継続的に続くものです。ではそのような場合、どのようなスタンスが最も利得が多くなるのでしょう?

 ミシガン大学の政治学・公共政策専門、ロバート・アクセルロッド教授は、ゲーム理論の一つ<繰り返し型の囚人のジレンマ>(詳細の説明は割愛しますが、コミュニケーションの駆け引きを繰り返し続けるゲームだと思って頂ければ概ね間違っていません)に関して様々な分野の研究者からゲーム戦略を募集し、コンピュータープログラムとして総当たり対戦の実験を行いました。

 「必ず協調する戦略」「必ず裏切る戦略」、その間で取れる様々な協調と裏切りの比率を設定した戦略、果ては「でたらめ(ランダム)戦略」まで。これらが総当たりで攻守交替の戦いを続けるゲームです。

 結果、最も単純な戦略である「しっぺ返し戦略(tit for tat)」が優勝し、打倒「しっぺ返し」を期して行われた第2回実験でも、様々な「しっべ返し戦略の応用編」バージョンが登場する中、「最もシンプルなしっぺ返し戦略」が優勝したのです。

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