自身の信じている「勝ちパターン」を横展開し、それがうまくいかなければ撤退して次の手を考える。あたりまえのことを素早くできるというのは強みです。「できる! と宣言してしまったのだから」とか「一度乗り出した船だから…」とかで傷を大きくしがちなのが日本企業や日本人の典型的な「減点評価法」が原因の思考です。いわゆる「サンクコスト(埋没費用=回収が不可能なコスト)」を考えられないのです。
そういう意味で、ニトリがたとえアパレルで失敗したとしても、そこからの撤退スピードがどのようなものかはニトリの企業としての成長力や新規事業を生み出す力を表すものと言えます。
「プラットフォーム」戦略の呪縛
私たちが学ぶ「成功ビジネスモデル」は、「成功した」ビジネスモデルであり、「次も成功する」ビジネスモデルとは言えません。ユニクロですら家元のように扱われている「製造小売」で失敗をしているのです。
ビジネスモデルとは、かなり大雑把な概形を表しているに過ぎず、同じビジネスモデルでも失敗例は少なくありません。ビジネスモデルはマクロの目で見たものに過ぎず、ビジネスの基本はセールスです。売り上げが上がる最後の瞬間にこそ、個性があるのです。
スマートフォンの分野ではAmazonもMicrosoftも大きな失敗をしたのを覚えていらっしゃるでしょう。Amazonはオムツの定期販売を試みて失敗したりもしています。「プラットフォーム」などと呼ばれ、「上流を抑えれば勝ち」みたいな視点では、これらの事例からは皆さんが成功を得ることは難しいのです。
2021年は大企業の色々なチャレンジを目にすることになるでしょう。その成功と失敗をより細かく見ていくことで皆さんの血や肉としていく1年にしていただければと思っています。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら