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あなたに強敵(とも)はいるか? コロナ禍での切磋琢磨のススメ (1/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 突然だが、あなたは「強敵」という漢字をどう読むか? 普通は「きょうてき」と読むだろう。私は「とも」と読む。昔のジャンプ漫画『北斗の拳』的世界観だ。闘った相手はライバルであり、友情が芽生えていくのである。ちなみに「地球(ほし)」「宇宙(そら)」「人生(たび)」と読む。これが私の流儀だ。

 ちょうど年末年始はコミック版の『バクマン。』(原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社)を読み返していた。大根仁監督、佐藤健、神木隆之介主演により映画化された、漫画家の青春記である。『週刊少年ジャンプ』を舞台に、若手漫画家が競い合う。連載を実現できるか、読者アンケートで高い支持を得られるか、アニメ化を実現できるか、何より面白い作品を生み出すことができるかなど、競い合う姿にはゾクゾクする。

 一方、現代は「競争よりも共創」「持続可能な社会を」という言葉が飛び交う低成長の時代である。ましてや、新型コロナウイルスショックで環境も激しく変わる中、「ライバル」や「競争」に意味を感じない人、さめた視点で捉える人もいることだろう。

 ただ、会社勤めをしていると、黙っていても競争をさせられる。特に営業の現場はそうだ。営業成績は日々、社内で共有される。企業によっては、営業成績がボーナスやインセンティブに直結するので、一喜一憂する。数字は実に正直である。競争しているのは営業だけではない。一見すると数字に無縁のようなスタッフも競争している。たとえば、コスト削減や、効率化などである。出世争いというものも存在する。最近では、役職を既得権化しない企業もじわじわ増えてきたし、管理職を目指さないキャリアも模索されている。とはいえ、同期入社の中で誰が先に管理職になるのかが気になる人も多いことだろう。

 今回はライバル、競争について考えてみよう。あなたに「強敵(とも)」はいるか? コロナ禍の中、私たちは誰とどのように切磋琢磨するべきなのか?

 社外に強敵(とも)がいると人生が楽しい

 私がラッキーだったのは、よい競争相手に恵まれたことだ。負けて当然の立場から強い相手に勝負できたのはラッキーだった。いや、厳密に、目の前で競争していたわけではない。仮想敵を設定して、勝負を挑んでいた。

 「競争相手は、市場だ」。のちに独立・起業し、上場を果たした先輩が口にしていた言葉である。社内の先輩・同僚との競争も尊いが、身内と争っていても意味がない。それよりも、社外のプロたちと争った方がやりがいはあるし、社内からも拍手される。何より、それは顧客や世の中のためになる。

 会社員時代は、営業、営業企画、広報、人事などの仕事をした。営業は成果が数字で見えやすいが、それ以外の仕事もスタッフワークのようで、実はすべて数字や結果がわかる仕事だった。

 私が特に他社と闘っていたのは、人事で採用を担当していた頃だった。人事は成果が見えにくいと思う人もいるだろうが、それは違う。人事にも「人気企業ランキング」などの指標がある。このランキングは、もともとの企業の知名度も影響するし、単に学生の憧れを可視化しただけという批判もある。ただ、集計する企業によっては採用活動後のランキングも出しているので、成果がわからなくはない。ネット上のクチコミなどで学生の評価を確認することもできる。採用人数、予算という数値で計りやすい指標もあるし、採用した人に対する社内の評価というのも可視化できる。

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