ローカリゼーションマップ

日本と欧・米、記事や書籍「出だし」の違い 「偉人の名言」引用の是非 (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 知の巨人との称号を連発するのは、小さな山でも大きな山を見たことにすることで安心の材料を増やしたいのではないかと思うのだが、偉人の名言も心理的狙いとしては同じだろう。そして、何度も言うが、これは全体像の曖昧さを助長する。

 したがって、自分の具体的な経験のなかから見える風景を事細かに把握し、それを丁寧に表現するのが大切だと思っている。

 

 …とここまで書いたところでClubhouseを聞いていたら、偶然にも次のような台詞が耳に入ってきた。

 「優れた写真家は文章が上手い」

 視点に見るべきことが多い、という意味だ。美文の書き手であるかどうか、ではない。

 Lobsterrというメールで届く週1のニュースレターがある。その編集3人が集まった編集後記のトークをするルームのなかでのY.Mさんによる発言だったと思う。

 ぼくもY.Mさんと同じ感想をもっている。しかも写真家だけでなく、アーティストやデザイナーについても同じような思いを抱くことが多い。デッサンはモノの見方をトレーニングするに役立つと言われるが、自分の目で「独り立ち」をするための必須科目なのだ。

 延々とこう書いてきてなんだが、最後に、引用についてひとつだけ注釈を記しておこう。

 自分の血肉となった言葉は引用元を示す必要はないと思う。血肉になるとは原典を忘れるほどに、いくつかの経験がまじりあって発酵したような状態だ。誰それの言葉だと名前を挙げて紹介しようがない。しかし、あえてその原典に触れるなら、「私の思想の系譜」というタイトルによるだろう。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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