フリーランスの進路相談室

できないことは捨ててよし! 会社が苦手な人へおくる「フリーランスの生存戦略」 (3/4ページ)

Workship MAGAZINE
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中西:いまいる環境で、「仕事があまりにできない」「コミュニケーションでどうしてもトラブルが起こる」などの苦しい状態にいる人は意外と多いと思うんですが、そこから「診断に行く」という発想になる人は少ないですよね。

竹熊:少ないね。僕も最初は「自分の能力不足だ」と思って、「何事も経験だから」と苦手なことも頑張ろうとしていました。

中西:そこから、自分の能力ではなく、生まれ持った特性によるものではと思えたのはなぜですか?

竹熊:いやぁ、できないもんはできなかったからなぁ。

中西:(笑)。

竹熊:インターネットとかにも簡単な診断ができるサイトがあるでしょう。あれをちょろちょろっとやってみて、「もしかして」と思ったら病院に行ってみたらいいと思いますね。

中西:診断を受けて、「できないもんはできない」って自分の特性が分かると、そこからどうするか考えられますしね。私も診断を受けて、「自分をうまく扱うための情報が増えて嬉しいな」って思えたなあ。

苦手を克服する努力をするのは20代まで

竹熊:僕らみたいなタイプの人間が「自分のできないことをできるようになろう」って努力が必要なのは、20代までだと思うんですよ。

中西:30代以降は努力しても意味がないってことですか?

竹熊:うーん。というより、仕事を見定めて取捨選択をすることが必要になってくる感じだな。フリーランスは自分で仕事を選べるんだけど、色々な案件に対して「やる・やらない」を自分で決めなくてはいけないともいえます。そういう時に、「経験になるかな」と思って苦手なことやあまり気乗りしないことも引き受けるのは、20代まででいい。気乗りしない仕事で、「でも、これをやっておけば次に繋がるかもしれないし……」と思うことってありませんか?

中西:あります!

竹熊:だけど、気乗りしない仕事って、たいてい受けたところで気持ちも乗らなくて、あまり良い結果がでないんだよ。

中西:あぁ、確かに……。

竹熊:僕の仕事でいくと、『サルまん』はすごく楽しかった仕事。編集者とも相性が良くて、自分のやりたいことだったので気持ちよく進めることができた。だからやっぱり、いまでも代表作と呼ばれていたりしますね。

中西:なるほど……。案外、「無理に頑張る」ことで得られるものは少ないのかもしれない。取捨選択できる力は大事ですね。めちゃくちゃ苦手ですけど……。

竹熊:僕はADHDであることを知ったのが50代以降だったので、「もっと早く知っておけば違う選択ができたかもしれない」という気持ちがあるね。好きなことや得意なことを伸ばすぞ、と振り切れていたら、一年くらいかけてしまったあの仕事は引き受けなかっただろうなぁ、とかね、思いますよ。

中西:人生の時間の振り分け方ということでしょうか。刺さりますね。

竹熊:もしもADHDだった場合には「努力でどうにかなる話じゃない」ってことも多いですし。そうでなかったとしても、できることやできないことを把握して、できないことはもう割り切って、誰かに頼るほうがよっぽど時間の使い方としていいんじゃないかと思いますよ。

探すべきは「いい相棒」

中西:確かに、得手不得手の激しい私たちのようなタイプこそ、自分について把握するというのは本当に大事だなと思います。とはいえ、「誰かに頼る」ということが苦手な人も多いんじゃないかなと思ったのですが、竹熊さんはどうですか?

竹熊:「誰か」というのは、もちろん専門家にお金を払って頼む方法もあるけど、「いい相棒を見つける」のが大事かもしれないね。

中西:いい相棒。

竹熊:たとえばスタジオジブリの宮崎駿さんには、プロデューサーの鈴木敏夫さんという最高の相棒がいました。『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』を手がけた時の庵野秀明さんにも、映像監督の樋口真嗣さんという相棒がいた。僕でいえば、書き仕事をするときの編集者がそうです。同時並行で物事を進めることができない僕は、締め切りの催促を上手に仕掛けてくれる編集者がいないと、多分仕事ができていません。

中西:自分と違う「得意」を持った相棒と組むということでしょうか。

竹熊:そうだね。それができれば、僕のような特徴のある人でもいい仕事をしやすくなるんじゃないかな。

中西:なるほど。フリーランスだからこそ、相棒探しが重要なのか。

竹熊:相棒を見つけるにはもちろん運もあるけど、できるだけたくさんの人と付き合って、自分が「才能がある」と思った人は大事にすることですね。相手が新人であれ、干されている人であれ、才能には関係ない。むしろそのほうが、相手から手を差し伸べてもらえるチャンスがあるともいえるでしょう。

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