ブランドウォッチング

「帝国ホテル」建て替え 次世代の「和魂洋才」を期待 (3/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 設計技術や施工技術が高度に確立されたことによって、世界のどこに行っても、最新鋭のビルや再開発地区を目にする機会が増えました。こうなると人間とは贅沢なものですが、どこに行っても同じように清潔でモダンな高層建築、ガラスカーテンウォール、緑化造園された敷地外構、ところどころに設置されたアート作品、石張りのファッサードに壁面を流れる水流。オフィスとレジデンス、そしてホテル、レストラン、ショッピングエリアが一体開発されるところまで含めてあまりにも“文法”が確立され過ぎてしまったことにつまらなさも感じてしまいます。

 実際に帝国ホテルより一足前に再開発した伝統的御三家の一角「ホテルオークラ」は、愛するファンが多かった従来の建物内装の意匠などレガシーを残すことに多大な配慮がなされ建て替えられましたが、それでも「つまらなくなった」と感じてしまう人もいるようです。

 ネットによって世界がつながりあらゆる領域でグローバルでも競争が繰り広げられる時代。かつてほどよく世界と日本を隔てていた地政学的距離が絶対的なものでなくなる中、英語の問題を含めウエスタンスタイルの真っ向勝負は年々厳しさを感じるようになったと思います。

 そんな時代だからこそ、単なるグローバルスタンダードの文脈を大きく超える、「帝国ホテル」だけができる次の時代の「和魂洋才」の姿、世界に通用する日本ならではの価値観を体現するホテル像をぜひプレゼンテーションして欲しいと思います。

秋月涼佑(あきづき・りょうすけ)
秋月涼佑(あきづき・りょうすけ) ブランドプロデューサー
大手広告代理店で様々なクライアントを担当。商品開発(コンセプト、パッケージデザイン、ネーミング等の開発)に多く関わる。現在、独立してブランドプロデューサーとして活躍中。ライフスタイルからマーケティング、ビジネス、政治経済まで硬軟幅の広い執筆活動にも注力中。
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【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら

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