CAのここだけの話

お客様ゼロのカーゴフライト乗務がCAに人気なワケ コロナ下でもクルー魂は健在 (1/2ページ)

松岡至宝
松岡至宝

 SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第106回は中東系航空会社で乗務8年目の松岡至宝がお送りいたします。

 みなさま、コロナ禍をいかがお過ごしでしょうか? 2019年末から感染が広がり始め、2020年の3月末から各国にロックダウンが敷かれた結果、大きなダメージを受けているエアライン業界ですが、現役で働いている客室乗務員は意外にも前向きにコロナ前のように飛び始めています。新しい形態となった働き方と休日の過ごし方を、現在中東在住の私がお話しさせて頂きます。

大打撃を受けたエアライン業界

 2020年、多くのエアラインが苦境に晒されました。コロナで一番の打撃を受けた業界のような気もします。

 2020年2月までは満席のフライトが数多くありましたが、毎日乗務している肌感覚でも、2021年5月現在、運行しているフライトの機内は常に空席が目立ちます。毎週のように、様々な就航先のフライトがキャンセルになったり、または再開になったりという社内メールが届きます。

 行き先によって異なりますが、お客様にとっても、フライト前にPCR検査、到着後もPCR検査…と、ストレスと時間の掛かる移動になりますので、ご旅行を控えていらっしゃる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 客室乗務員としても、毎週異なる国にフライトしていた環境がガラッと変わり、現在はほぼ地上で待機していることのほうが多い生活になってしまいました。

 世界を飛びまわっているときは、時差ボケがひどく、目覚めてから何度考えてもどこに居るのかすぐに判断できないなんてこともあります。目覚めて「ここはどこ?」と混乱していたら、自宅のある中東から飛行機で15時間のブラジル・サンパウロに滞在していたという経験は今では懐かしい思い出です。

コロナに負けず“クルー魂”発揮

 現在、客室乗務員はフライトで外国に行ってもその就航先のホテルから原則外出禁止とされています。今までのように現地で観光をしたり、食材や雑貨を調達するということが出来なくなりましたが、そこはクルーの習性でしょうか。唯一の楽しみである“現地のものを楽しむ”というチャンスは逃しません。

 コロナ禍で発達したデリバリーサービスを私たち客室乗務員も高頻度で利用しています。フライト前はいつも、ホテルまでの配達が可能なサイトやサービスを同僚同士で共有しています。

 ヨーロッパでは美味しくて安い果物などを仕入れてくる客室乗務員も多くいますし、私自身、先月は友人からオランダ産の蜂蜜をお土産に頂きました。

 こういう状況下でも少しでも現地のものを調達して楽しむ。“クルー魂”だなと思ってしまいます。

 私も日本に帰った時は日本の食材はもちろん、中東では手に入れることのできない日本の本をアマゾンで注文して取り寄せたりしています。電子書籍のオンライン購入が可能な便利な世の中になりましたが、紙の書籍が好きな私には有難いサービスです。

 ワクチン接種の数も世界的に増えてきて、ヨーロッパのアイルランドやデンマークなどの数カ国のように滞在中外出許可が認められている国も少しずつではありますが出てきているようなので、このまま状況が落ち着いてくれるのを期待するのみです。

CAのあいだでカーゴフライトが人気なワケ

 そんな中、私の会社で以前より多くなった業務がカーゴフライト(貨物輸送機での乗務)です。乗務員構成は、客室乗務員3人とパイロット3~4人です。通常の旅客フライトでは、B777の場合は客室乗務員11人~、A380の場合は約23人がオペレートしているので、カーゴフライトはだいぶ少ない人員で運営されています。

 旅客フライトの大幅な減便もあり、会社は現在、運輸のほうに力を入れているようです。通常の旅客飛行機の下部にあるカーゴで輸送するタイプと今まで旅客機として使用していた飛行機の座席を取り外し、機内にも大量に段ボールなどの荷物を搭載して運輸する2タイプのカーゴフライトがあります。

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