最強のコミュニケーション術

「同調圧力」で説明しきれない 善意によるワクチンハラスメントの“正体” (1/3ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第31回は「ワクチンハラスメントへの対処法」がテーマです。「ワクチンを打たないなんて、とんでもない」「あんなものは絶対に打ってはいけない」など、ワクチン接種に対する考え方を押しつけるハラスメントが話題になっています。

 コロナ時代での振る舞い方やワクチン接種の有無など、意見が違う人との関係が悪くなるケースも増えています。悪気がなく、むしろ「教えてあげなければ」という善意のハラスメントをされた場合、どう返せばいいのか。具体的な対処法をご紹介します。

インターネットの功罪1 正しいと思い込む「フィルターバブル」

 まだわからないことも多い新型コロナウイルスやワクチン。私たちは日々インターネットやニュースなどから情報を得ており、これらが意見や判断を構築するときに大きな影響を与えています。触れる情報が、全員が同じではないというのは皆さんご存知のとおりです。

 それに加え、インターネットでは、これまでの閲覧傾向に合わせて情報が提示されるので、更に情報に偏りが生じやすくなります。 自分の好みに最適化された見たい情報だけに触れている状況のことを、泡に包まれていることに例えて「フィルターバブル」と言います。フィルターバブルに包まれている状態では、反対意見に触れる機会は激減します。そもそも私たち人間には、自分の意見と同じものが目に入りやすく、違う意見に触れても軽んじやすいという特性があります。他の人から反対意見を聞いても、理解しようとする気持ちにはなりにくいのです。

 フィルターバブルのやっかいなのは、自分は正しい情報にアクセスしていて、他の意見の人が「情報を知らない人」に見えることです。「事実を知ればわかるはず」という思いで、有識者(のように見える人を含む)の発信や、自分の意見に都合のいいデータなどを見せようとするのはこのためです。

 しかし、自分とは違う考え方を押しつけられるというのは、気分のよいものではないので、強い主張をされればされるほど、拒否反応が出てしまいます。「あの人とは付き合うのを控えよう」と思ったことのある人もいるのではないでしょうか。

 強い主張をしてくる人が正しいと信じていること、例えば「ワクチンは打ってはいけない」や「ワクチンを打たない人は差別されてもしかたがない」といった信念は、フィルターバブルによって構築されている可能性があります。これは情報化社会に誰もが陥る可能性があることです。罪を憎んで人を憎まずではありませんが「主張がおかしいから」と、つきあいをやめるといった短絡的な考え方は、できるだけ避けたいものです。自分が正しいと信じていることもまた、フィルターバブルによって構築された可能性があることを忘れてほしくないのです。

 では、強い主張をしてくる人にはどのように接すればいいのでしょうか。信念を作っている情報に偏りがあるという事実を指摘したところで、彼らが主張を考え直すことは期待できません。強い主張をしてくる人は、自分と同じような意見を繰り返し見聞きすることで、確信を深めている可能性が高いからです。

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