キャリア

「仕事をしないのに高給取り」テレワークで居場所を失った“妖精さん”はどこへ行くのか (3/4ページ)

 求人情報サービス大手「エン・ジャパン」が2020年5月に公表した実態調査結果では、“社内失業者”がいる企業は予備軍を含めて29%に上った。サービス関連や商社が高く、従業員規模では「300~999名」(45%)と「1000名以上」(47%)といった大きな企業に顕著であった。少し古いデータとなるが、2011年の内閣府調査によれば、全国の労働者の8.5%にあたる約465万人が社内失業者に該当するという。

 コロナ不況が“社内失業者”を増やした可能性もある。内閣府の「日本経済2020-2021」(2021年)によれば、企業の雇用者数が実際の生産活動に最適である水準を上回る「余剰人員」は、緊急事態宣言が初めて発出された2020年4~6月期は646万人に上ったのだ。

 その後の経済活動の再開とともに減少はしたものの、10~12月期は238万人に上っている。非製造業が158万人で、このうち「飲食・宿泊サービス業など」が90万人だ。

 ■仕事をしない会社員が1割近くいるという異常事態

 コロナ禍で突如として業務量が激減したという特殊要因のもとの数字であり、経済活動が制約されて、企業の「余剰感」が強まっている事情がある。むしろ多くの企業が、経済活動の本格再開をにらんで何とか雇用を維持しているという側面もあるが、コロナ不況の長期化で支店や店舗の統廃合など事業そのものを縮小する企業も増えてきている。

 こうした企業では“社内失業者”が増えやすい。加えて、コロナ後にデジタル化が進んで「ミドルスキル」の仕事が減り始めると、さらに“社内失業者”が多くなる。

 しかしながら、テレワークが“妖精さん”や“社内失業者”などを浮き彫りにすることは悪いことではない。そもそも、少子高齢化で働き手世代が減りゆく時代に、1割近くもの「仕事をしない会社員」がいること自体が異常なのである。“人材の無駄遣い”としか言いようがない。

 年功序列や終身雇用といった日本企業の労働慣行に守られ、「働き」の割に高い給与をもらっている社員の存在が、組織全体の士気を下げ、若手社員の意欲を削ぐ結果ともなっている。

 ■「米国人1人≒日本人1.7人」という労働生産性の現状

 「仕事をしない会社員」や「期待したほどの成果を上げられない会社員」の解消は長年の経営課題であったが、先述したようにデジタル改革が進み始めて早期・希望退職の動きが本格化してきた。

 テレワークの普及がこうした動きを後押しするならば歓迎すべきだ。人口減少社会を克服するには、雇用の流動化は避けられないからである。

 働き手世代は激減期に入っており、コロナ不況を脱すれば再び日本は深刻な人手不足に襲われる。働く意欲のある人がすべて働かなければ社会が回らなくなる。現在の日本にとって、働く能力がある人々を“妖精さん”や“社内失業者”などのように無駄遣いしている余裕はないのである。彼らにとっても、新たな道が開けたほうがよいだろう。

 テレワークによって「仕事をしない会社員」が働く存在に転じることは、個々の底上げが実現する以上に大きな利益を各企業にもたらす。1人当たりの労働生産性(就業者1人当たり付加価値)が向上するからだ。

 そもそも、“妖精さん”や“社内失業者”がいなくても仕事に支障はないのである。稼ぐ側に回れば、その分だけ単純に利益が大きくなり、1人当たりの労働生産性は向上する。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus