働き方

出社自粛をするべきなのにオジサン上司がせっせと通勤を続ける本当の理由 (3/3ページ)

 イマドキ上司に求められる「部下の伴奏者」

 働き方の選択肢としてテレワークが位置づけられるようになれば、リアルを前提にしたマネジメントには限界が生じます。旧来のままでは管理職層である上司と部下の関係には軋轢(あつれき)が生じ、業務に支障が出る場合もあります。

 会社とは社員全員がそこに集まって仕事をする、ある面で強制されている場所です。会社には部下たちを「管理」する管理職がいて、部下たちの仕事を目の前でチェックします。同じ場所で働いていますから、上司が部下の仕事の進捗状況を確認するには、その場で声を掛ければ済みます。

 社員は仕事の内容や進め方について上司に確認しながら進めることになりますから、どうしても「受動的」になり、時に「指示待ち」する社員が生まれる場合もあります。

 その一方、テレワークでは管理職層の上司と部下たちは同じ場所で仕事をしていません。部下に指示したり確認したりする際には、「Zoom」や「Google Meet」などのオンライン会議システムやビジネスチャット、そしてメールなどを使い分けてやり取りすることになります。部下は目の前にいませんから、従来のように上司から部下に頻繁にやり取りすることはできなくなります。

 詳細な指示、命令では逆効果

 社員の側も出社時のように上司から詳細な指示は出ませんから、「受動的」で「指示待ち」でいては仕事ができません。「自発的」に考え「計画的に仕事を進める」ことが社員にも欠かせなくなります。

 テレワークで管理職層に求められるのは、詳細に指示や命令をするのではなく、部下が自発的に仕事に取り組めるように支援するスタイルに転換することです。

 そこで必要になるのは、

 ・社として求められている成果や結果を明確化する

 ・よい結果を生むために必要な作業手順(作業プロセス)を導き出し、チームと社員がそれぞれ共有化する

 ・作業プロセスごとに、チームメンバー各人が、なにを、いつまでに、どのようにして達成するかを決めて仕事に取り組む

 という流れにすることです。

 仕事は想定外のことが起きるのが常ですから、問題が起きれば上司はすぐに部下の相談に乗り、共に検討して解決策を見いだす役割を果たしていくことになります。

 働き方が転換期を迎える今、管理職層に最も必要なことは、プロセス管理を中心とした評価や査定だけでなく、結果から判断するマネジメントへの転換です。また進捗プロセスのチェックよりも、求められたら助言や支援を行い、部下が仕事に取り組みやすくなる伴奏者になることです。

 「部下の必須スキル」は“先手の報連相”

 自己管理ができる優秀な社員が、これまでと変わらない上司と企業の対応に見切りをつけてしまう。リモートで意思疎通が減り、若手社員が孤独を感じてしまう--。こうしたことをきっかけに起きる人材流出は、社員にとっても会社にとっても不幸なことです。

 テレワークが認められているのに、出社している若手社員がいます。彼らがそうなる理由は、「テレワークだけで、自分は上司から正しく評価してもらえるのだろうか」「仕事をさぼっていると思われないか」といった不安があるからです。こうした職場も互いに不幸です。

 自己完結型の仕事をする部下と違い、管理職の仕事は部下がいてこそできる仕事です。部下たちの働く姿を見ることができず、慣れないテレワークで職務を続けることは、上司にも相当なストレスと不安があります。

 テレワークに代表される新しい働き方では、管理職層が仕事の仕方を変える必要がある一方、管理職のもとで働く社員たちにも求められることがあります。

 ・仕事の進捗状況やプロセスが見えない上司には、求められる前に部下の側から報告を入れる。

 ・外出先からでも対応できるスケジュール管理やファイル閲覧、社員間で情報共有できるツールなどに上司も参加しやすいように協力する。

 ・わからないことや支障が生じた時には、すぐ上司に相談する。

 こうした対応をしていけば、上司も安心して部下を支援できます。

 これからまだしばらくはCOVID-19と共存することになり、私たちは最適な働き方を模索しながら仕事をすることになります。これからの社会は、出社とテレワークを組み合わせていくことは間違いありません。

 行き違いを少しでも減らすために、上司は社員のやる気をそがないように心掛け、社員も上司の心理を踏まえた行動が求められてきます。(マーケティングコンサルタント 酒井 光雄)

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 酒井 光雄(さかい・みつお)

 マーケティングコンサルタント

 学習院大学法学部卒業。事業経営の本質は「これまで存在していなかった新たな価値を生み出し、社会に認めてもらう活動」であると提唱。価値の低いものはいつの時代も、必ず価格競争に巻き込まれ、淘汰されていくとして、一貫して企業と商品の「価値づくり」を支援している。日本経済新聞社が実施した「経営コンサルタント調査」で、「企業に最も評価されるコンサルタント会社ベスト20」に選ばれた実績を持つ。著書に『不況を乗り切るマーケティング図鑑』『デジタル時代のマーケティング・エクササイズ』(共にプレジデント社)、『全史×成功事例で読む「マーケティング」大全』、『成功事例に学ぶ マーケティング戦略の教科書』(共にかんき出版)、『コトラーを読む』『商品よりもニュースを売れ! 情報連鎖を生み出すマーケティング』(共に日本経済新聞出版)、『価値づくり進化経営』『中小企業が強いブランド力を持つ経営』『価格の決定権を持つ経営』(共に日本経営合理化協会)、『図解&事例で学ぶマーケティングの教科書』(監修)『男の居場所』(共にマイナビ出版)など多数ある。プレジデント社のオンラインサイト「プレジデントオンライン」で連載コラムを執筆し、多くのファンに支持されている。日経BP社が主催する日経BP Marketing Awardsの審査委員を長年務めている。http://www.ms-bgate.com/

 ----------(PRESIDENT Online)

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