最強のコミュニケーション術

敬語をくずしても礼儀正しいと思われる話し方 ヒトはなにで「失礼だ」と感じるか (1/2ページ)

藤田尚弓
藤田尚弓

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第32回は「敬語のくずし方」がテーマです。正しい敬語を使えるというのは社会人としての必須スキルです。しかし、取引先と雑談するときなど、硬い敬語のままだと相手に距離を感じさせてしまうこともあります。一方で、敬語をくずすことで「生意気だ」と思われることもありますし、最悪なケースでは侮辱されたように感じた人に恨まれてしまうこともあります。

 失礼なく相手との距離を縮めるにはどのようにすればいいのか。敬語のくずし方を、具体例を交えながら紹介します。

真面目な人が陥りがちな「敬語の罠」

 私たち日本人は初対面の人とは敬語で話し、親しい人とはタメ口と呼ばれるカジュアルな話し方をします。意識していないかも知れませんが、敬語とタメ口の中間とも言える話し方もよく使われています。例えば「初顔合わせをした仕事関係の人とチームになっていく」「取引先の人と雑談をする」といったシーンでは、正しい敬語だけではなく、少しゆるめたカジュアルな敬語が使われることが一般的です。

 正しい敬語から、少しゆるめた敬語にするには、どのタイミングで、どのくらい緩めるのがいいのか、皆さんも迷ったことがあるのではないでしょうか。このあたりを勘でうまくやれる人はよいのですが、真面目な人の場合「念のために」「失礼があってはいけないから」と正しい敬語のまま通してしまうことがあります。自分にもその傾向があると感じる人は少しスタイルを変えたほうがいいかも知れません。

 世論調査によると、必要以上に敬語を多く使って話すのを「感じが良くない」と思う人は約8割にものぼります(*1)。敬語には相手との距離を感じさせる効果もあります。ゆるめた敬語を使うべきところで、正しいままの敬語を使ってしまうと「とっつきにくい人と思う」「仲良くしようとしたのに、拒否されたように感じてしまう」といった印象を持たれてしまうこともあるのです。

違和感なく敬語をくずす2つのテクニック

 敬語のまま通してしまう人が恐れているのは「失礼だと思われたらどうしよう」という部分だと思います。拙著「いい人間関係は敬語のくずし方で決まる」(*2)では失礼にならない敬語のゆるめ方を7つのステップでご紹介しています。その中から今回は2つの方法を選んでご紹介します。

▼思わず出てしまう言葉

 1つめは「直接表出」と呼ばれる、感情を表に出すやり方です。この方法で、相手の会話を聞いているときに、リアクション部分をゆるめてみてください。例を見てみましょう。

《例》リアクション部分をゆるめる

「すごい! こんなの初めてみました」

「確認しますね…日曜はやっぱりダメだったか! せっかく声をかけてもらったのに、すみません」

 感動したとき、驚いたとき、落胆したとき、嬉しかったときなど、思わず言葉が出てしまうことがあります。このような、相手に伝えるつもりのない、思わず出てしまった言葉が直接表出です。この部分は相手に話しているわけではないので、敬語をくずしても失礼になりません。たったこれだけですが、場をやわらげる効果がありますし、仲良くしたい気持ちが伝わりやすくなります。

▼文末を「…」に変える

 2つめは「文末回避」と呼ばれる、「です」「ます」などの文末を使わないやり方です。急に慣れ慣れしくされてビックリするというケースでは、突然、文末がタメ口というのが大きな原因です。プライベートで仲良くなりたい人であっても、「~ですよね」といった話し方を急に「~だよね」と変えると違和感を抱かれます。

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