社会・その他

岸和田だんじり祭に見物多数 「生活の一部」「感染心配」賛否が交錯 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されるなか大阪府岸和田市で18日、「岸和田だんじり祭」が実施された。運営団体や市は観覧自粛を呼びかけていたが、沿道には大勢の見物客が詰めかけた。「感染が拡大しないか心配」「だんじりは生活の一部」。かけ声やお囃子(はやし)の音色が響く街で、感染防止と伝統継承をめぐる声が交錯した。

 目隠し幕の隙間から

 18日午後、南海岸和田駅前の交差点で、「ソーリャ、ソーリャ」のかけ声とともに、だんじりが勢いをつけて曲がった。見せ場の「やりまわし」だ。通行人から見えないよう紅白幕が張られていたが、周辺には多くの見物客が集まった。花壇に上ったり、幕の隙間から様子をうかがったりして難なく観覧できるからだ。

 「伝統の行事なので、開催しないわけにはいかないと思う。例年より観客は少ないし、大きな声を出していないので問題はないだろう」。岸和田市に隣接する同府貝塚市から訪れた男性会社員(34)は理解を示す。

 この日、一部では人垣ができるほど見物客が押し寄せた。飲酒しながら観覧する人たちもいて、運営団体が意図した「無観客」にはほど遠い。買い物で訪れて観覧客の様子を見た岸和田市の女性会社員(37)は「結局マナーが守られていない。たくさん人が集まってしまい、今後クラスター(感染者集団)が発生しないか心配だ」と話した。

 市内5町は曳行中止

 岸和田だんじり祭は市内中心部の22町が参加し、各町がだんじりを曳行(えいこう)する行事だ。コロナの感染拡大で、昨年は終戦直後の昭和20年以来、75年ぶりに曳行が自粛された。今年も5町が曳行の自粛を決めた。

 曳行を決めた町も揺れた。岸和田市本町町会の吉川和善会長(73)によると、今年の参加者は例年の半分以下。懸念の声は地元でも根強く、今月上旬には一部住民から中止を求める署名が手渡された。ただ「伝統継承のため」と参加を求める意見もあり、最終的には時間短縮での曳行を決断した。署名を提出した住民には、吉川会長がそれぞれの自宅を訪問し、理解を求めたという。

 同町の曳行責任者、阪祥男(さかまさお)さん(54)はこの日に向け、医療関係者らとともに感染防止策を練った。曳行参加者が集まる集会所では必ず熱を計測し、こまめに記録するようにした。不安が消えたわけではない。「本当は自粛すべきではないかとの思いもある」

 伝統継承の重みをかみしめる人もいた。同町のだんじりを方向転換させる「三十人組」の組長、中口貴則さん(39)は「だんじりは生活の一部のようなもの。時間を短縮しても参加できるだけでありがたい」。

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