「ビジネス視点」で読み解く農業

儲かる「都市農業」を作らなければ未来が無い 「生産緑地の2022年問題」の現在地 (2/3ページ)

池本博則
池本博則

■未来に向けた再定義で2022年問題は徐々に改善の兆しが

 2022年問題が叫ばれる中、政府は都市農業、農地の持つ役割を重要視しており、ここ数年で「農地を守ること」、「都市農業を再定義していくこと」を目指した法改正を行っています。

(1)生産緑地の10年延長ができる特定生産緑地制度

 生産緑地の指定から30年を経過する日以前に、その所有者等の同意を前提として、市町村長が特定生産緑地の指定を行うことができることになりました。この指定によって生産緑地の買取り申出ができる時期は、10年延期ができ、10年経過後は改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年の延長ができることになりました。

 つまり特定生産緑地とは、生産緑地の買取り申出期限の延長を目的としたものです。特定生産緑地の指定を受けた場合でも、その所有者等の権利義務の内容は、基本的には従来の生産緑地制度と変わりありません。

(2)生産緑地に指定できる最低面積を300m2へ引下げ

 生産緑地に指定することができる最低面積は、改正前には500m2以上でしたが、平成29年の改正法では市町村の条例により300m2以上まで引き下げることができるようになりました。

 この改正により、改正前の制度では指定の対象とならなかった小規模な農地でも、生産緑地に指定することによって緑地保全の役割を果たすことが期待できるため、これにより生産緑地制度の拡充を図ることを目的とするものです。

(3)生産緑地内に設置できる施設等の追加

 生産緑地内に設置できる施設は、改正前は農業等を営むために必要な施設などに限られていましたが、平成29年の改正法では農産物を利用した収益的事業のための施設(例えば直売所やレストラン、農産物を加工するための専用施設)なども設置が認められることになりました。

 これは、農家の収益性を高めることで生産緑地の安定した維持に役立てることを目的とした改正です。

■特定緑地法のみならず、生産緑地の貸し付けが容易になる法律も制定

 また、上記の特定緑地法のみならず、都市農地の貸借の円滑化に関する法律(平成30年9月施行)の制定によって、一定の基準を満たした生産緑地の貸借取引に対しては、農地法の規制を適用しないこととすることで、生産緑地の貸付けが容易にできることになりました。

 これは、農業従事者の高齢化や後継者問題への対策としても有効です。また、土地の所有者が新しいビジネスを立ち上げたり、農地を所有していない農業希望者が都市近郊で農業を経営できる可能性も生み出してくれます。

また、地域コミュニティの活性化を図る施設を運営するなど、営農以外の活動の可能性様々な可能性が生産緑地に与えられている状況となっています。

 こうした、生産緑地を取り巻くルールの再定義により、2022年問題に向かってただ想定されていた状態ではなく、生産者のみなさんが再度10年間「先延ばし」しながら問題を検討するなど、選択が出来る状態が生まれました。

このことにより、生産緑地の全面積の8割以上が2022年以降の特定生産緑地の申請をする見込みとなっており、2022年問題はそれほど市場に大きなインパクトを与えるものにはならないことが想定されてきています。

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