元受付嬢CEOの視線

取材中に明かされ驚いた、創業仲間の本音 バンクシーの作品はなぜ高値で売れるのか (1/2ページ)

橋本真里子
橋本真里子

 先日、とある雑誌の取材を受けました。いつもは私一人で対応することが多いのですが、今回は「創業メンバーもご一緒に」というリクエストをいただいたので、私を含む5名でお受けしました。取材中、その創業メンバーたちの受け答えを隣で聞いていたのですが、中でもCTO(最高技術責任者)の話が、私にとって目から鱗だったのです。

「なぜ起業に携わることを決めたのか」

 今回の取材は、「起業家」にフォーカスを当て、その起業家がどのように育ったか、起業する前は何をしていたのか、どういう想いで創業し、そして今の姿になったのかを伝えるものでした。

 その取材の中で、メンバーそれぞれに対して、「なぜ起業に携わることを決めたのか」という質問がありました。CTOが参加を決めた理由をじっくり聞くのは実は初めてでした。

 当初は業務委託として受付システムの開発に関わってくれていた彼に「CTOとしてジョインして欲しい」と伝えたのが今から5年ほど前。その時にも入社の意思を固めてくれた理由は聞いたのですが、お互いそこまで深く探らなかったというか、「プロダクトが良くて、やりがいがある」と、ある意味「当たり障りない」回答だった記憶があります。

 ところが、取材で彼が答えた起業への参加理由で当時の動機や想いが明かされました。

「ストーリーに惹かれたから」

 記者の方がどういうことなのかと堀り下げると、CTOは次のように説明しました。

「世の中に存在しているサービスやプロダクトって、ほとんどのものが真似できる。コピーできると思うんです。でも『元受付嬢が作った受付システム』というストーリーは誰にも真似できない。人の心を動かすのはストーリーだと思っているんです。サービスやプロダクトの背景にあるストーリーが、唯一無二の差別化なんです」

 私のことを話してくれているのですが、「なんて素晴らしい表現なんだ!」と第三者的な感想を抱きました(笑)。そしてそれは、取材終了後、時間が経てば経つほど「嬉しい」という感情に変わり、そして今では自信にもなっています。

バンクシーの絵がなぜ大きな価値をもつのか

 他にも、彼は取材中、私をさまざまな角度で表現してくれ、その言葉選びにも非常に共感しました。

「昔のヒーローものというのは、主人公が強くて完璧で、いわゆるスーパーマンみたいなものばかりでした。しかし今は違います。主人公が弱かったり、おっちょこちょいだったり、弱い部分を持っているという設定が増えました。その『弱い主人公』を仲間が助けたり、一緒に戦ったりして、困難を乗り越えていくというスタイルに変わってきています」

 「弱い主人公」とは何もかも未経験だった私のことで、日々、試行錯誤しながらサービス開発や会社経営にチャレンジする様子を表現してくれたようです。

 そして、もう一つ、私を言い表すのに彼が使った印象的な例えがあります。アーティストのバンクシーを引き合いに出したのです。

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