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20代で絶対にやるべき7つのこと 倍速で躍進する若者に届けたい「生き抜く力」 (1/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 勤務先の大学のホームカミングデーというイベントで「特別講義」を担当した。オンライン開催となったが、卒業生の熱を感じることができた。「百年に一度の変化が毎年、起こる時代のキャリア塾」というテーマで講義をした。若い卒業生向けのイベントだったので、いま若い20代がやるべきことについて話した。会社員の頃はまるでダメ人間だった私が話していいのかと思いつつ、振り返った。

まず「目の前のことに集中」して道が拓く

 20代にするべきことは何だろう? 私が、伝えたのは次の7点だ。

1. 目の前のことに集中する

2.「名刺代わりの仕事」をつくる

3.「エア転職」をする

4. さまざまな人の立場で考える(特に上司、顧客の視点で)

5. ハードニュース、書籍にふれる

6.「自分の幸せ」の因数分解をする

7. 自分、周りの人の年齢にプラス5、10をして未来予測をする

 書き出してみて、率直に「古い」と思った次第だ。いまの若い人にウケるかどうかはわからない。実際、いまの20代はこれまでのルールにとらわれず活躍している。とはいえ、私はこれらが大事だと信じているので、熱をこめて伝えた。それぞれ簡単に説明しよう。

1. 目の前のことに集中する

 「今の仕事がやりたいことと違う」「配属ガチャにはずれた」こんな人もいるかもしれない。そもそも今の会社が第一志望ではなかったという人もいるだろう。いちいち気持ちはわかってしまうが、とはいえ、まず目の前の仕事に没頭しよう(明らかに法律に無頓着で、過酷な労働を強いるブラック企業を除く)。

 目の前の仕事に没頭することは、好き嫌いは別として、合理的な点がある。やらなければならないことをこなしていると、周りが認めてくれる少しずつできることも増える。その上で、やりたいことも見つかる

 仕事を「やらされる」というだけで理不尽に感じる人、拒否反応を起こす人もいることだろう。その気持ちもわかる。ただ、会社員にせよフリーランスにせよ、自分からは選択しないであろう仕事を「やらされる」ことは、実は貴重な機会なのである。

 スタンフォード大学の心理学者、ジョン・D・クランボルツの「計画的偶発性理論」というものがある。キャリアの8割は予想しない偶発的な経験で作られる、というものだ。それを踏まえると、何かと「やらされている」と拒否反応を起こすより、目の前のことにまず取り組むことは合理的だといえる。

 スティーブ・ジョブズの2005年のスタンフォード大学での講演は「ステイハングリー、ステイフーリッシュ」というメッセージがあまりに有名だ。それもいいのだが、講演の前半にある「点と点をつなぐ」という言葉の方が、キャリア形成の上では大切である。この目の前の仕事をどうつなげていくか。それはきっと、未来につながるのだ。

2. 「名刺代わりの仕事」をつくる

 新卒の就活では、志望理由や学生時代に力を入れたことが問われる。社会に出てからは「何をやってきた人なのか」「何ができる人なのか」が問われる。転職活動においても、異動においても、これは大事な要素になる。そのために、自分の名刺になる仕事をつくろう。「○○をやった田中」というように。いかにも成果のアピール、査定資料の作成のように捉えられると悲しいが、いま取り組んでいる仕事を自分の「名刺」にするにはどうすればいいか。考えてみよう。

3. 「エア転職」をする

 この連載でも何度もふれてきたが、転職をする気がなくても、自分のキャリアの棚卸しをする意味でも、可能性をさぐる意味でも、「エア転職」を強くすすめる。つまり、転職する気がなくても転職活動に取り組んでみるのである。

 常に自分の履歴書や職務経歴書を用意し、更新し続けよう。さらに、求人サイトや人材紹介会社にも登録しよう。企業も人材ビジネス企業もここ数年、潜在的転職希望層へのアプローチを強化している。別に誰かに迷惑をかけるものでもない。いま転職するとどれくらいの年収やポジションを得ることができるかがわかる。あるいは、いまの自分や職場・仕事を少しだけ客観的に捉えることで、今の会社で働く意味も確認できる。自分の可能性を確認することもできる。

 まずは履歴書、職務経歴書を書こう。そして数社、人材ビジネス企業に登録してみよう。

4. 様々な人の立場で考える(特に上司、顧客の視点で)

 よくサラリーマンの教訓で「上司の立場で考えろ」というものがある。いかにもな説教のように聞こえるかもしれないが、この言葉は案外正しい。

 思えば、会社員時代の同僚で出世していった人は目の前の仕事に没頭しつつ、自分が社長・役員・部長だったらどうするかを常に考えていた。これは、成功哲学というわけではなく、組織や仕事を俯瞰して捉え、物事の全体像を把握するための心がけである。ときにビジネスでは顧客や取引先の立場を考える必要性が出てくる。彼らが期待していることは何かを把握できる視野の広さを身に着けることにもつながる。

 仕事に対して冷静になるためにも、楽しむためにも、様々な人の立場で考えてみよう。ものの見え方が変わるはずだ。

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