先月、2014年の香港民主化要求デモ「雨傘運動」の指導者の一人、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏をロンドンでインタビューした。羅氏に取材するのは、同氏が民主派排除が進む香港を逃れて渡英した後の昨年8月末以来だった。
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2度目の取材で驚いたのは、羅氏の印象が大きく変わったことだ。取材場所として指定されたロンドン市内のコーヒーショップで待っていると、「お久しぶりです!」と羅氏が満面の笑みで現れた。昨年8月末の取材中は終始、顔がこわばり、笑顔は全くなかった。
羅氏が別人のようにリラックスした表情を見せるようになったのは、英国での生活が安定し、気持ちの余裕が生まれたことが大きいようだ。羅氏は昨年6月末の渡英後、しばらくは観光ビザで滞在。今年4月に英政府が自身の亡命申請を承認したと公表した。
羅氏は先月の取材で、亡命の承認を「心から安堵(あんど)し、香港に送還される心配をする必要がなくなった」と繰り返した。亡命が認められるまで身の安全を確保できず、笑うことができないほど精神的に追い詰められていたことがわかった。
取材中、羅氏は「最近、休日は英国でできた友人とサッカーを楽しんでいるんだ」と教えてくれた。近況を語る姿は民主活動家というよりも自由を求める普通の青年だった。(板東和正)