ビジネスパーソンの必読書

    情報工場「SERENDIP」編集部

    MLBで大活躍の大谷翔平選手が影響を受けた母校の監督の言葉に「先入観は可能を不可能にする」がある。先入観を外して世界を眺めてみると新たな挑戦をしたくなるかもしれない。

    判断に迷うときは

    □『修羅場のケーススタディ』木村尚敬著(PHPビジネス新書・957円)

    『修羅場のケーススタディ』
    『修羅場のケーススタディ』

    年間にわたり何のトラブルもなく仕事を遂行できる人は極めて少数だろう。会社勤めの人、特に中間管理職は、行動や判断に迷う「修羅場」に出くわすことが大なり小なりあるはずだ。本書はそんなケースにおける対応をアドバイス。

    実態からかけ離れた、とうてい達成不可能な目標を自部門に課せられたらどうするか。努力するが報われず、現場は疲弊しきっている。無理に達成しようとするあまりコンプライアンス違反も生じかねない。

    そんな時には、部門のリーダーが自ら中長期的な視点で事業を精査し、事業の縮小が必要と判断したならばそれを上層部に提言する。あるいは、クビを覚悟で「外部と組む」ことを画策するといった大胆な行動も考えられるという。

    中長期的な視点、そして「自分の仕事で何を大事にしているか」という軸を持つべきだと著者。確固とした自己と、独り善がりにならない柔軟性を併せ持つことが、修羅場を乗り切る上で重要なのだろう。

    絵画をどう売るか

    □『ビジネス戦略から読む美術史』西岡文彦著(新潮新書・836円)

    歴史上、生活必需品ではない美術品を売るために、さまざまな戦略が求められてきた。その変遷を西洋美術史とともに追う。

    19世紀に登場した印象派絵画は当初、斬新すぎて理解されず、値がつきにくかった。しかし、パリの画商、デュラン=リュエルが金ピカのゴージャスな額縁に入れ、猫足家具と呼ばれる優美な家具に合わせてサロンで販売を始めたところ、価値が急上昇する。

    金ピカの額縁や猫足家具は仏革命以前の王朝美術の典型。革命後に登場した印象派のイメージにはそぐわない。だがデュラン=リュエルはあえてそれを組み合わせることで、印象派の新しさへの顧客の不安を和らげようとした。また購入者に、自身をセレブのように思わせる効果もあった。

    美的価値が認められる優れた美術品だからといって、何もせずに売れて世間に広まるわけではない。あの手この手のビジネス戦略があってこそ、現代の私たちも印象派が楽しめるようになったのだ。

    ながら聴きが可能

    □『ボイステック革命』緒方憲太郎著(日本経済新聞出版・1980円)

    GAFAと称されるIT巨人がこぞって注目、進出を図る「ボイステック(音声関連のテクノロジー)」の現状と可能性を、音声メディアVoicy(ボイシー)の創業者が詳説。

    特に動きが目立つのがポッドキャストだ。アップルが元祖だが、音楽配信のスポティファイが急追。グーグル、アマゾン、フェイスブックも音声関連の取り組みを加速している。

    音声メディアの最大の利点は「ながら聴き」が可能なこと。多忙な人でも何か別のことをしながらコンテンツを楽しめる。発信側も録音ボタンを押すだけで、短時間でコンテンツを作ることができる。受信、発信とも手軽にできるため利用者の拡大が見込めるのだ。

    音声から心身の状態を読み取り、鬱(うつ)病などの診断に役立てる技術も開発されている。さらにITになじめない高齢者にとって音声認識技術は助けになる。声の温かみが精神的支えになるかもしれない。取り組みの広がりに期待したい。


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