軍艦島「遺憾」決議の歪んだ調査 元島民「再調査を」

    国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が22日、長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」をめぐり、戦時徴用された朝鮮人労働者に関する日本政府の説明が不十分だとして「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択した。外務省は水面下で巻き返しを図ったが、日本の国際社会での評価をおとしめようとする韓国の「政治工作」が成果を収める結果となった。

    産業遺産情報センターに展示された軍艦島(長崎市)の元島民らのパネル写真=東京都新宿区(同センター提供)
    産業遺産情報センターに展示された軍艦島(長崎市)の元島民らのパネル写真=東京都新宿区(同センター提供)

    6月7~9日、ユネスコが派遣したドイツ人の専門家が産業遺産情報センター(東京都新宿区)を訪れた。日本政府が2015年7月の世界遺産登録時に「(軍艦島などでの)犠牲者を記憶にとどめる」と表明した措置が履行されているかどうかの確認だった。現地を訪れたのは1人だが、ほか2人の専門家もオンライン形式で視察した。

    ドイツ人は館内を視察し、「(朝鮮半島出身の)犠牲者の展示がない」との主張を繰り返したという。韓国が唱える朝鮮人労働者への非人道的な待遇は記録や証言で裏付けに乏しく、元島民は差別的対応はなかったと証言している。

    視察に立ち会った加藤康子センター長は「事実関係も確認できないのに、(韓国が主張するような)元島民の人権を踏みにじる展示ができるわけがない」と説明したが、専門家は納得せず、韓国側の主張を一方的に唱えた。

    専門家は視察の前に、韓国の政治家らとセンターの状況についてオンラインで意見交換を行っていた。「強制連行」の究明に取り組む日本の市民団体から情報提供も受けていた。専門家は日韓の歴史問題に十分な知識は備えていたとはいえず、オンラインの参加者は、当時は日本国民であった朝鮮半島出身者を「戦時捕虜」と表現したという。

    6月下旬、世界遺産委員会の決議案の土台になる専門家による報告書の原案が日本側に示された。「強制連行」を主張する韓国側の市民団体と連携する日本の市民団体が、センターの運営などから外されていることが盛り込まれていた。


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