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【ロシアを読む】露新型ステルス機「チェックメイト」の実力は? 「米F35より優位」 次世代の空戦にも対応

ロシアの新型ステルス戦闘機「チェックメイト」が7月、露国際航空博覧会で初公開された。同機は米最新鋭ステルス機「F35」などをスペック(数字上の性能)では凌駕(りょうが)しており、ロシア側は欧米のライバル機を「効果的に撃破できる」と豪語。価格面でもF35などに比べ圧倒的に優位だとした。さらに「次世代の空戦」にも対応できるとしている。現時点で判明しているチェックメイトの詳細をまとめ、今後の展望を占った。

300機の輸出見込む

発表されたチェックメイトは単発エンジンの単座式で、国土の広さや信頼性を考慮して伝統的に双発機を重視してきたロシアとしては異例の設計思想に基づく機体として注目を浴びた。開発は国営ハイテク企業「ロステック」が主導し、設計や製造を国営航空企業「スホイ」が担当した。

ロステックによると、チェックメイトは制空・対地・対艦任務の全てに対応可能なマルチロール(多用途)機として設計された。人工知能(AI)が操縦をサポートし、パイロットが負傷したり、意識を失ったりした場合でも基地に帰還できる機能を持つ。初飛行は2023年を予定し、その後、試験飛行を重ね、早ければ26年には顧客への納入が可能になるという。

ロシア軍だけでなく既に他国からも引き合いが来ているといい、ロステックはアジアやアフリカ、南米など国外への輸出分だけで300機の需要があると見込む。チェックメイトは輸出向けの名称で、露メディアは、国内での同機の名称は「スホイ75」となる可能性があると報じている。

チェックメイトは、レーダーに映りにくいステルス能力や超音速巡航機能などを要件とする「第5世代ジェット戦闘機」に分類される。第5世代戦闘機は現在、「世界最強」と呼ばれる米F22や、日本も導入した米F35、ロシアのスホイ57、中国の殲(J)20が存在するが、F35を除き、いずれも大型の双発機だ。チェックメイトは、同じ単発かつ多用途ステルス機であるF35を〝仮想敵〟としているとの見方が強い。

米F35の半額以下

実際にF35との性能比較はどうなのか。

ロステックによると、チェックメイトはミサイル5発を胴体内の兵器庫(ウェポンベイ)に搭載可能。機関銃は内臓せず、必要に応じて外付けする仕様とした。最高速度はマッハ2(音速の2倍)、追加の燃料タンクなしでの後続距離は3000キロで、ペイロード(最大積載量)は7・4トンだという。

一方、F35は4発のミサイルをウェポンベイに搭載可能。最高速度はマッハ1・6、航続距離は2200キロ、ペイロードは7~8トン。スペック上はチェックメイトがF35を上回っているといえる。実際、露メディアによると、開発幹部は「チェックメイトはスホイ57の搭載兵器を全て利用でき、他の第5世代戦闘機を効果的に撃破できる」と主張した。

さらにロシア側は、コスト面でもチェックメイトがF35を圧倒しているとアピールしている。ロステックのチェメゾフ代表は「チェックメイトの価格は1機2500万ドル(約27億円)から3000万ドルになる見込みだ。F35は6000万~9000万ドルだ」と強調。安価なのは、チェックメイトがスホイ57や主力戦闘機スホイ35と一部の部品を共有しているためだと説明した。また、チェックメイトの飛行時間(退役までに1機が飛行できる耐用時間)はF35の6~7倍になるとも説明している。

ただ、チェックメイトはまだ開発段階で、想定通りの価格やスペックを実現できる保証は一切ないのが実情だ。さらに現代の空戦では、ミサイル性能や人工衛星などとのデータリンク精度、レーダーの能力などが重要とされ、機体のスペック差はあくまで勝敗を左右する一要素に過ぎないということにも注意しておく必要がある。

日本も当事者に

航空軍事の分野は今後、「第6世代ジェット戦闘機」の時代に移行していくとの分析が出ている。第6世代戦闘機の定義は現時点で明確になっていないが、レーザー兵器の搭載や、AIによる完全自律飛行・無人化などが要件となる可能性が指摘されている。有人機は前線に展開した無人機を後方から制御する「司令塔」のような存在になるとの観測もある。

実際、チェックメイトの開発幹部は「本機は近い未来に誕生しうる第6世代機にも対抗できるように設計してある」と説明。将来的に複座式や完全無人型の機体も開発される可能性があるとした。複座式機でパイロットが操縦に専念し、後部座席のオペレーターが情報収集や無人機の制御を行う-といった状況を想定しているとみられる。

ロシアは近年、米国との対立などを背景に軍備増強を加速させ、アジア太平洋地域での軍事活動も活発化させている。隣国の日本も、次期戦闘機の開発や対ステルスレーダーの研究といった防衛措置を早急に整備する必要に迫られているといえそうだ。

(モスクワ 小野田雄一)


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