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【話の肖像画】評論家・石平(59)(8)祖父が命がけで教えた「論語」


田舎で遊び回った少年時代
田舎で遊び回った少年時代

論語の一節を祖父が白い紙に書いて僕に渡す。僕はそれを書き写す、その繰り返し。意味は分かりません。放課後、それが日課になりました。声を出して読む素読(そどく)は禁止。そのときは分かりませんでしたが、外に漏れる危険性があるからでしょう。

ある夜、僕がオシッコに行こうとしたら、祖父が台所で僕が書き写した論語の紙を燃やしているではありませんか。僕は怖くなって黙ってましたけど…。後から思えば、祖父は命がけで僕に論語を教えようとしたのです。なぜ、祖父はそこまでしたのか? どうやら僕を漢方医にしたかったようですね。「医は仁術」ですから、昔ながらの漢方医は医術を学ぶ前に論語を勉強することが習わしでした。

僕は学校の成績、特に国語がよくできたのですが、文革で大学は閉鎖されてしまった。学校の教師も追放され、高校を出たばかりのような〝若造教師〟などにはとても孫の教育を任せてはおけない。ならば「自分の手で」と決意したのでしょうね。

そのとき、祖父から論語を教わったことは、とてもよかった。今でも論語の一節が、文字になって頭に浮かびますよ。(聞き手 喜多由浩)

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