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【ビブリオエッセー】時代の喜怒哀楽に寄り添う 「歴史のじかん」乃木坂46・山崎怜奈(幻冬舎)

「教科書には喜怒哀楽が載っていない。そのため、いつまでも日本史は暗記科目のまま、表面的な出来事の羅列になってしまっている」

冒頭にこう書くのは、この本の著者で乃木坂46のメンバー、山崎怜奈さん。たちまち心を奪われ、読み終えた後、この言葉が本書の特徴をずばり言い表しているなと思いました。

歴史好きの山崎さんがMCをつとめた番組「乃木坂46山崎怜奈 歴史のじかん」から厳選した内容の本編と、本編から学んだことをもとに山崎さんが書き下ろしたコラムを加え、14回分が収録されています。

わかりにくい応仁の乱の真相から「意外と知らない忠臣蔵」や大河ドラマの渋沢栄一まで、学校では習わないような史実が指南役の先生たちとの座談形式で掘り下げられます。そこから見える歴史上の人物たちは世間一般のイメージとはかけ離れ、癖が強く厄介な人たちだったりします。そんな我の強さや心の動きが歴史を動かす大きな力になったことを知りました。

なにより山崎さんの絶妙な質問や合いの手が魅力ですが、コラムでは例えば千利休の「センス」を「時代性を纏(まと)い」「語らせる『余白』を残している」と書き、鋭い指摘も光ります。さらに自分の生き方や人生に落とし込み、明智光秀を「『孤独飼い』の先輩」と書いたり、蒲生氏郷の「ずる賢さ」に自身を重ねたり。人物に寄り添い、「正義」「自己肯定感」「恋愛」など誰もが一度はぶつかり、悩む問題になぞらえて生き方のヒントを提示しています。

歴史という大きな流れの中で一人一人の存在はささやかですが、歴史を変えてきたのはその時代を生きた人々の怒りや悲しみなどの感情にほかなりません。歴史を学ぶとは人々の思いを知ることだと、山崎さんに教えられました。

静岡県掛川市 魚の骨(31)

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